TOP女子プロレスIce Ribbon →Ice Ribbon:Golden Ribbon 5/3/10

Ice Ribbon:Golden Ribbon 5/3/10の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

2枚、約3時間です。
SlamBamJam製。

2度目の後楽園大会。

@エリミネーション・マッチ:みなみ飛香、つくし、帯広さやかvs.牧場みのり、志田光、くるみ
 低年齢女子という事で動きのレベルは低いが
 6人とも同じレベルならそれはその試合の世界として許せる可能性があり、実際それが出来ている。
 体の大きいみのり、長身でブリッジが映える志田を適切に配置したりとタッグの絵合わせも意識している。
 またデビュー戦となるつくしが天才キャラでもないのに相手を脱落させたように、
 お約束、規定の印象を覆して驚かせられるアイス・リボンならではの魅力も出ている。
 いきなり感心させられた内容。
 平均レベルです。

A市来貴代子、星ハム子vs.高梨マサ子、都宮ちい
 これが復帰戦となる市来ですが他に何もないから顔蹴りを売りにしている、という嫌なスタイルですね。
 ちいは年齢的に余裕がないから一生懸命、市来に顔蹴りを仕掛けていくけど、
 これでは見所として成り立ちませんよ。
 他2人は温いコメディー系だけど
 高梨が男故に無駄に技がしっかりしていて試合に悪影響を及ぼしていましたね。
 ひどい試合。

B市井舞vs.藤野恵実
 3分2R。オープン・フィンガー・グローブをつけた打撃が認められているルール。
 スタイル上完全に男子の劣化版になっている上、
 プロレス的に見せ場を生もうとして攻防のレベルを更に下げている。
 判定なし、なのでわずか6分経って引き分け。
 勝敗という売りもなく、まったく存在価値を見出せない内容です。
 ひどすぎる試合。

C飯伏幸太、真琴vs.澤宗紀、バンビ
 GENTAROに存在力がないな、といわれた真琴が相手、パートナーを指名してこの試合に。
 取りあえず見た感じでは真琴が直面しているのは
 ビジュアル系でもいけそうな中でそれに甘んじず、
 頑張りで評価される選手から結果で評価される選手になれるかどうかだと思いますね。
 しかしそういう悩み系をストーリーに絡めると
 試合自体はそれに反して頑張りが前面に出る内容になってしまうのが悩み所です。
 その性質を良しとしてしまうならば試合自体はそれなりに良かった。
 澤は行動が制限される中で感情を調節しているし、
 バンビは市来と違ってベースがしっかりした上で表現的にハードにヒットさせていますからね。
 また飯伏と澤の絡みはアイス・リボン抜きにシングルで激突して欲しい程豪華すぎましたし。
 平均レベル。

DNEOハイ・スピード王座戦:夏樹☆たいよう(ch)vs.藤本つかさ
 藤本はスピードを売りにするなら走らない時の足捌きを学ばなければいけません。
 またレベルが高くない避けの重ねすぎは逆効果です。
 ドロップ・キックを多用しすぎですし、
 唯一の反撃ポイントとしたアンクル・ロックですが、
 それだけで説得力が足りないなら脚攻めをしなさい。
 一方で夏樹はサブミッションを適切に織り交ぜ安定した支配を見せハードに打撃を叩き込んでいる。
 押さえ込みを使った面白いアイディアの他、
 返し方は相当に上手い見せ方をしている。  
 とにかくレスラーとしてのレベル、完成度が違いすぎましたね。
 試合が進めば進む程に夏樹の株が上がり、藤本への駄目だしが増える。
 少し悪い試合。

Eインターナショナル・リボン・タッグ王座戦、ハードコア・リボン・マッチ:高橋奈苗、しもうま和美(ch)vs.GENTARO、矢野啓太vs.葛西純、松本都
 なんとなく危険と判断したもの以外は許されるルール。
 コメディーを織り交ぜながらその雰囲気を利用して男が女のレベルまで下がっています。
 松本による観客席入り口上からのテーブル・ダイブを挟んだ後、
 リングに戻ってからは男がちょっとレベルを戻して王者組みを立てています。
 仕掛けは良いが基本グダグダなファン・マッチ。
 少し悪い試合です。

FICEx60王座戦:りほ(ch)vs.さくらえみ
 王者りほは中学一年生、若干13歳ですが優れた選手です。
 彼女は中央で視線を交し合うシーンでじっと動かない事が出来る。
 技を格好で決める事が出来るし、受けも絵が出来ている。
 柔軟性を活かしたムーブのレパートリーは広い。
 
 しかし何より重要なのはこの子が大変聡明であるという事です。
 彼女は自身が素材である事を知っている。
 そしてそれが決してレベルが低い事と同列に扱われる事ではなく、誇りに思って良い事だと知っている。

 同時に自分の置かれた状況を理解している。
 今後の数年、彼女は相手への強制力を持つ経験をほとんど積む事なく、
 運命付けられた身体の変化に対応していかなければならない。
 そこには言いようのない不安がある。

 そしてそれが彼女を唯一無二の存在にしている。
 @に出場したように選手のように低年齢の武器は天真爛漫さなのに
 彼女だけは1人、憂いを抱えている。
 終わりが来る事を知って、しかし希望を捨てずに日々もがきながら生きている。
 13歳という年齢で既に人生を背負って人間の美しさをまとっている。
 だから彼女はスポーツ少女ではなくレスラーでありスーパースターです。
  
 試合はこのりほに対してさくらが上手く強さを殺して対峙しています。
 強さを減らしながらレスラーとしての能力を維持できるバランス感覚はさくらならではでしょう。
 クイック系を中心に攻防を次々と生み出しています。
 物量で誤魔化している部分もありますが必殺技の攻防まで用意していたのには素直に感心しました。
 まあまあ良い試合。

総評
 選手間の、そして選手の1歳1歳が重い低年齢プロレスは非常に面白いと思いますね。
 さくらもそれを分かって運営している。
 20歳ぐらいになってきた時にレスラーとしての能力をつけられるか、
 それまでの経験を活かせるかは未知数な部分があるように思いますが、
 そういう部分も含めて見守ってみたい、と思わせる優良団体です。
 取りあえずりほは1回生で見てみたい。
 (執筆日:8/16/10)
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@エリミネーション・マッチ:みなみ飛香、つくし、帯広さやかvs.牧場みのり、志田光、くるみ
A市来貴代子、星ハム子vs.高梨マサ子、都宮ちい
B市井舞vs.藤野恵実(2R時間切れ)
C飯伏幸太、真琴vs.澤宗紀、バンビ
DNEOハイ・スピード王座戦:夏樹☆たいよう(ch)vs.藤本つかさ
Eインターナショナル・リボン・タッグ王座戦、ハードコア・リボン・マッチ:高橋奈苗、しもうま和美(ch)vs.GENTARO、矢野啓太vs.葛西純、松本都(新チャンピオン!)
FICEx60王座戦:りほ(ch)vs.さくらえみ(新チャンピオン!)