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全日本女子プロレス:横浜美神王国 3/26/95の分析


名勝負 なし
好勝負 堀田裕美子vs.ライオネス飛鳥

3枚、約5時間20分です。
SlamBamJam製。

2時間
@玉田りえvs.前川久美子
 新人から抜け出て一応動きに幅を出す事を許されてはいるようですね。
 しかしどこが自分の見せ場かもう少しアピールすべきです。
 前川は格闘技色を出すのは良いけど
 まだ身についていないので攻防の中でかなり浮いています。
 ひどい試合。

Aジュニア王座戦:キャンディー奥津(ch)vs.チャパリータASARI
 いきなりジャーマンと全女スタイルを見せたASARIですが、
 一方のキャンディーは打撃が適当でここぞのタイミングも掴めていないですね。
 引きずられるようにASARIの試合運びもだらける。
 最後こそASARIが必殺技に拘った事で執着心が現れ締まったけど低レベルな内容でした。
 悪い試合。
 
Bシュートボクシング・ルール:伊藤薫vs.角田紀子(SBシーザージム)
 実に退屈な殴り合いです。
 疲労する事で動きが汚くなっていくし、見るべきものはまったくありません。
 ひどい試合。

Cジャガー横田、レディ・アパッチェvs.吉田万里子、フェリーナ
 ルチャドーラは流れるようなグラウンド・レスリングこそ見せたものの
 それぞれ跳ね起きに失敗したりと体の重さからミス、緩い動きが生まれています。
 特にここから、といって場面で出てしまうのが痛いですね。
 観客にルチャが受けていなくてもしっかり自分の仕事はこなさなくては。
 少し悪い試合。

DUWAタッグ王座戦:三田英津子、下田美馬(ch)vs.みなみ鈴香、渡辺智子
 三田、下田とみなみの相性が良いですね。
 三田、下田は技をかけてから決まるインパクトまで
 集中力を切らさないので1つ1つの動きがしっかりしていて安定感を持って物量押しにいける。
 そこにみなみが受けから楔を打つように反撃。
 みなみの感覚には感心しますね。
 また下田が控えで光る働きを見せていました。
 しかし格下の渡辺は影に隠れてしまいましたね。
 他の3人だって終盤で見合う場面もありつつも、
 積極的に交わって良い攻防を生み出したのですからもう少し自己主張を見せてほしかった。
 平均的な良試合。

E長谷川咲恵vs.バイソン木村
 長谷川はリアルタイムでタイミングを計るのが苦手ですね。
 だから殴り合いなんかは上手く出来ていません。
 雑な動きで散逸だし、
 それぞれの武器であるチョップ、ソバットも
 連発して価値を落とさない構成が出来ていない。
 少し悪い試合。

Fオール・パシフィック王座戦、三つ巴戦:井上貴子vs.山田敏与
 最初は三つ巴戦を意識したせいで中途半端なスタートでしたが、
 貴子は考えて戦っている事を観客に理解させる攻防が出来ている。
 痛み、狙いも伝わってきます。
 一方で山田は蹴りこそハード・ヒッティングなものの
 そこからどうするかが見えないのが問題ですね。
 平均的な良試合。

Gオール・パシフィック王座戦、三つ巴戦:井上貴子vs.レジー・ベネット
 レジーが最初から飛ばし体力の残っていない貴子を圧倒。
 貴子がコーナー上を反撃のチャンスとしたりと
 短い割には両者が価値を上げた状態で試合を終えていて良いですね。
 平均レベル。

Hオール・パシフィック王座戦、三つ巴戦:山田敏与vs.レジー・ベネット
 山田の気の吐き方と受け時の反応の悪さからいまいちな内容。
 構図にはまりきらなかったですね。
 少し悪い試合。

Fオール・パシフィック王座戦、三つ巴戦:山田敏与vs.井上貴子
 貴子が山田の脚を攻めて先ほどの試合との差別化要因を入れてきましたが、
 どうせならレジー戦で布石を入れておけば良かったですね。
 また脚攻めの価値もそこまであったとは言えない。
 序盤の飛ばした攻防が最大の見せ場であったように思えます。
 平均レベル。
 各試合はいまいちな所もありましたが三つ巴戦全体として見ると概ね成功している。

G堀田裕美子vs.ライオネス飛鳥
 2人の希望でピンフォールはなしのアルティメット・ルールに。
 マウント・パンチで容赦なく顔面に入れたりと
 尋常ならぬハード・ヒッティング・マッチとなりました。
 しかし同時に格闘技的つまらなさも抱えてしまっている。
 ニュートラル状態に趣を与え、仕切りでリズムをつけれるようにしなければなりません。
 少なくともロープ・ブレイクが認められず半身が外に出てもずっとサブミッションをかけ続けるなんて馬鹿げています。
 流石に静かな観客が気になったか
 後半になると飛鳥が観客も意識して変化をつけるようになっていますけどね。
 堀田は後頭部への頭突きなど過激化させるものの
 試合運びは通常のプロレスに引きずられていて
 もう少しコンセプチュアルに、規定概念に囚われずに考えて欲しい所です。
 面白さはいまいちでしたが、凄い試合ではあるし、
 少なくとも終盤の攻防はどちらもノックアウトに根ざしていて文句のつけようがなかった。
 ぎりぎり好勝負。

HWWF女子王座戦:ブル中野(ch)vs.井上京子
 ブルはパワフルな技を出し惜しみせず放ちながらも
 グラウンド・サブミッションを利かせて試合の展開を抑制する、という熟練の試合運びを見せます。
 ロープを交えた攻撃など独創的で、
 ブルが再び一線級に戻ってきた、と強い印象を受けましたね。
 只このブル相手とはいえ恵まれた体躯を持つ京子がここまで責められるのは納得いきませんね。
 京子だからこそ耐えれていると見れなくもないけど。
 最後は普通終点のつけようがない連続打ちの組み合わせを
 必殺技返しに裏必殺技で締めくくっています。
 ブルのシングルの中ではTOPレベルの内容。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

IWWWA王座戦:アジャ・コング(ch)vs.豊田真奈美
 豊田の速攻をアジャが潰して支配。
 ぐったりと色気ある受けをする豊田をまったりと封殺していきます。
 得意の形でかなり完成度は高いものの
 既視感を覚えるために豊田の窮地に素直に引き込まれるという事はなかったですね。
 アジャ側からも少々倦怠感が見えました。
 豊田の強引な技、アジャの裏拳で迎えたクライマックス最後4分間で
 ようやくこの試合の凄さが時間差で伝わってきたような状態です。
 好勝負に少し届かず。
 
総評
 三つ巴戦の影響もあり長ったらしい構成になっているが、
 最後3試合は全女の強みを発揮しています。
 対抗戦後はまだ余り見てないけれどこれだけ後半充実している大会はトップ・ランクに位置するのでしょう。
 (執筆日:5/13/11)
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@玉田りえvs.前川久美子
Aジュニア王座戦:キャンディー奥津(ch)vs.チャパリータASARI(新チャンピオン!)
Bシュートボクシング・ルール:伊藤薫vs.角田紀子(SBシーザージム)(判定)
Cジャガー横田、レディ・アパッチェvs.吉田万里子、フェリーナ
DUWAタッグ王座戦:三田英津子、下田美馬(ch)vs.みなみ鈴香、渡辺智子
E長谷川咲恵vs.バイソン木村
Fオール・パシフィック王座戦、三つ巴戦:井上貴子vs.山田敏与
Gオール・パシフィック王座戦、三つ巴戦:井上貴子vs.レジー・ベネット
Hオール・パシフィック王座戦、三つ巴戦:山田敏与vs.レジー・ベネット
Fオールパシフィック王座戦、三つ巴戦:山田敏与(新チャンピオン!)vs.井上貴子
G堀田裕美子vs.ライオネス飛鳥
HWWF女子王座戦:ブル中野(ch)vs.井上京子
IWWWA王座戦:アジャ・コング(ch)vs.豊田真奈美(新チャンピオン!)