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Wrestling Heart:Match of the Year 60's part1の分析


名勝負 3本勝負:ロジャー・デラポルテ、アンドレ・ボレvs.ギルバート・ルダック、ロバート・ガセル(French Catch 12/14/61)
好勝負 テディ・ボーイvs.モデスト・アレド(French Catch 10/13/60)

ダン・オーブリットvs.ピエール・ベルナール(French Catch 11/9/62)

1960年
@テディ・ボーイvs.モデスト・アレド(French Catch 10/13/60)
 キビキビと動きつつも重さを感じさせる動きですね。
 ヘビー級とライトヘビー級の両方の良さを兼ね備えています。

 ロープを蹴ってグラウンドに転がしたりと
 立体的なレスリングの攻防。
 同時に仮想性も利いているのがにくい。

 中盤は打撃でシフト・チェンジしますが、
 ダウン表現が上手くKOの可能性をチラつかせています。

 そして当時としては信じられないことですが、
 ロープ越しにベリー・トゥー・ベリーというスポットを
 試合の要所で連発してドラマチックな展開としましたね。

 ゼロ距離ドロップキックやコーナーに固定しての頭突き等
 反撃スポットも負けじと見栄えのするもので
 プロレスならではの魅力の詰まった勧善懲悪劇でした。
 最後のフィニッシュも良い。

 1960年のMOTY。
 文句なしに好勝負。
 (執筆日:11/?/20)

1961年
A3本勝負:ロジャー・デラポルテ、アンドレ・ボレvs.ギルバート・ルダック、ロバート・ガセル(French Catch 12/14/61)
 (20分経過時から)
 ガセルは今回フェイスの役回りですが、アクションはヒール時のまま。
 荒々しい大ぶりの打撃は殺気を感じさせるし、
 ダウンするルダックを無理やり自陣に引っ張ってタッチしたりします。

 一方のルダックはピュアなテクニシャンで
 デラポルテ、ボレのヒール戦術に真っ向から挑んでボコボコにされます。

 このフェイスとヒールが合体したような
 間反対のタッグだからこその緩急が素晴らしかったですね。
 
 デラポルテ、ボレも鉄板のワーク。
 長時間マッチでしたが、観客を上手くコントロールし、
 要所の技も派手で、全て揃った試合運びで全く退屈せず。
 1本目は孤立させたルダックを押し切る形でしたが、
 それでも十分な納得感がありましたからね。

 3本目が余り試合時間残されておらず、
 60分時間切れという結末故ノー・フィニッシュなので、
 2本目のクライマックスを超えれなかった印象は残りましたが、
 フレンチ・タッグの歴史に残る試合の一つだったと思いますね。

 ぎりぎり名勝負。
 (執筆日:4/?/21)

1962年
Bダン・オーブリットvs.ピエール・ベルナール(French Catch 11/9/62)
 ダンは切れの良い身のこなしを披露。

 ピエールは気だるげに構えつつ
 組み合うと引き締めてきて試合運びが素晴らしい。

 攻撃的な打撃は"戦い"としての表現に基づきつつ、
 コーナーへのボディ・スラムなどプロレスならではの華やかさもあり、
 各所に見所が散りばめられています。

 細かな調整を踏まえて最後のフィニッシュまで導きました。

 MOTY的派手さはないものの
 フレンチ・キャッチの良さは凝縮されている内容といえます。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:4/?/21)


1963年
Cインターナショナル王座戦、3本勝負:力道山(ch)vs.ザ・デストロイヤー(JWA 12/2/63)
 試合を振り返ると・・・
 まずは予想通りのグラウンド合戦。
 デストロイヤーが場外で間を外したりしながら
 空手チョップを出させないのが見物。
 しかしゆとりを持ったレスリングは
 テーズ戦のような緊張感がなく
 力道山に殺しがなくなっていることを感じさせます。
 デストロイヤーがヒール・プレイを見せ
 (それでいてどこか紳士的だが)ロープ悪用のカバーで1本目先取。
 とはいってもセカンド・ロープではなくサード・ロープに脚をかけていては何も説得力がないですね。
 このロープ悪用フォール、80年代までセカンド・ロープを使うようにならないのだから首をかしげてしまいますね。
 
 2本目は早々にデストロイヤーが勝利を狙い4の字を狙ってきます。
 力道山は決めさせない物のコブラ・ツイストに捕らえられまして
 ロープ・ブレイクで逃れるわけですが
 離れる前に渾身一滴の空手チョップを放ち2本目を取ります。
 これはあくまで不意打ちであり
 空手チョップを出させてもらえないという展開を続けられる訳ですね。
 しかしストーリーのために犠牲も払っていて
 不意打ちということで流れがなく唐突ですし、
 ダウン状態からの空手チョップでは一撃性に欠けることは否めません。

 3本目はデストロイヤーの怒濤の4の字狙いで絶体絶命という演出。
 もはや打つ手無しと思われましたが
 力道山が4の字を狙ったデストロイヤーを蹴落とし得意の場外戦へ。
 ここでもデストロイヤーがヘッド・ロックをかけた状態で
 エプロンにぶつけるというクレバーぶりを見せる訳ですが
 これを場外でのバック・ドロップという
 空手チョップ封じのおかげで
 まったく観客の脳裏から抜け落ちていた技に切り返して辛勝したのでした。
 2本目までの攻防を利用し、その積み重ねで面白くするという分かりやすい盛り上げ方でしたね。
 初期力道山の魅力が失われている一方で、
 技巧戦のイメージを与えるために試合におけるストーリーに力を払っていることが良く分かり興味深いですね。
 この試合は64%という歴史的な高視聴率を残しています。
 中々良い試合。
 (追記:3/6/12)


1964年
Dなし

注目試合の詳細

ANWA王座戦、3本勝負:パット・オコーナー(ch)vs.バディ・ロジャース
  試合開始。
  コーナーに追い詰められたロジャースがアッパーカート。
  ストラットを見せる。
  ロジャースはロープに押し込むと脇腹に拳を叩き込む。
  すかさずオコーナーもお返し。
  ロジャースがリスト・ロックを決めダウンさせる。
  オコーナーは跳び起きると取り返そうとする。
  ロジャースが髪を掴んで防ぐ。
  オコーナーがリスト・ロックを決めダウンさせる。
  ロジャースは起き上がると振り飛ばす。
  オコーナーがショルダー・タックルからアーム・ドラッグ。
  腕を捻り上げる。
  ロジャースが半身を起こすもロープに手が届かない。
  何とか起き上がると殴りつける。
  オコーナーがその衝撃を利用してロープに走るとショルダー・ブロック。
  ロープに走る。
  ロジャースがカウンターでパワー・スラム。
  オコーナーはすぐに起き上がるとボディ・スラム。
  アーム・ドラッグに取る。
  ロジャースが起き上がり殴りつけて逃れる。
  オコーナーは再びそれを利用してショルダー・タックル。
  もう1発狙う。
  ロジャースがカウンターで殴りつけ4の字を狙う。
  オコーナーは殴りつけて逃れるとパイル・ドライバーを狙う。
  しかしロジャースが押し込んだためマットには突き刺さらずコーナーにもたれかかる形に。
  ロジャースは離れ際に蹴りつける。
  ロジャースはレフェリーに見えないようにチョーク。
  前に回ってくれば髪を掴み、
  後ろに回ってくればタイツを掴んで倒す。
  チン・ロック。
  オコーナーは起き上がりコーナーに押し込むと殴りつけていく。
  髪を掴んで投げ飛ばしショルダー・タックル。
  もう1発狙う。
  ロジャースがハイ・ニーで迎え撃ち1,2,3!
  ロジャースが先取する(8分)!
  休憩タイムの間、カンガルーのインタビューが挿入される。
  
  2本目の開始。
  ロジャースは組むと殴りつける。
  ロジャースはハンマーロックを決めるとレフェリーの眼を盗みチョーク。
  オコーナーが起き上がれば髪を掴んで倒す。
  オコーナーが起き上がりスナップ・メアに返そうとする。
  ロジャースがロープを掴んで防ぐ。
  オコーナーが半身を起こし拳を構える。
  ロジャースが顔に手を押し当て防ぐ。
  オコーナーは狙いを変え脚を取るとレッグ・ロック。
  ロジャースが蹴り飛ばす。
  オコーナーがショルダー・タックル。
  ロープに走る。
  ロジャースがカウンターでドロップ・キック。
  オコーナーは跳び起きると脚を取りレッグ・ロック。
  ロジャースがオコーナーの顔に手を押し当てる。
  オコーナーはたまらず体勢をうつぶせに変えようとする。
  ロジャースはその動きを利用しておおいかぶさる。
  オコーナーはブリッジで起き上がるとヘッド・ロック。
  そしてロジャースのように拳を叩きつける。
  ロジャースは痛みの余りうずくまる。
  オコーナーがヒップ・トス。
  ロジャースがショルダー・タックルを決めロープに走る。
  オコーナーは跳び起きるとオコーナー・ロールで1,2,3!
  これで1対1(7分)!

  3本目の開始。
  ロジャースがストラット。
  オコーナーはヘッド・ロック。
  ロジャースはロープに押し飛ばすと垂直ロープに走る。
  ロジャースがオコーナーの走るロープへ。
  オコーナーが中央で止まり拳を構える。
  ロジャースは寸前で踏みとどまりストラット。
  オコーナーがリスト・ロック。
  ロジャースはロープに押し込むと離れ際に拳を叩き込む。
  オコーナーがやり返して殴りつける。
  ロジャースがショルダー・タックル。
  殴りつけようとするも突進してきたオコーナーと衝突。
  両者ダウン。
  オコーナーがパイル・ドライバーを狙う。
  ロジャースがロープに押し込むとロープの間を通りエプロンに転落。
  両者リングに戻る。
  オコーナーが髪を掴んで投げ飛ばす。
  ロジャースがショルダー・タックル。
  オコーナーは跳び起きるとボディ・スラム。
  もう1発。
  カバーするもロジャースの脚がロープにかかる。
  オコーナーが拳を叩き込む。
  ロジャースはたまらず命乞い。
  ロジャースは許さず投げ飛ばすとボディ・スラム。
  カバーするもまたロープに脚がかかる。
  ロジャースは時間を稼いでいる。
  オコーナーが拳。
  胸にパンチを決めるとロジャースがダウン。
  オコーナーが拳。
  ターン・バックルに叩きつける。
  もう1回。 
  そして別のコーナーに持って行き叩きつける。
  もう1回。
  ロジャースは頭を押さえて崩れ落ちる。
  オコーナーが拳。
  ロジャースも打ち返すもふらふら。
  オコーナーが打ち勝ってダウンさせカバーするもまたロープに脚がかかる。
  オコーナーがヒップ・トスからドロップ・キック。
  もう1発狙う。
  ロジャースが避けるとオコーナーはロープにぶつかり自爆。
  ロジャースが何とかカバーにいき1,2,3!
  ロジャースが新チャンピオンに(7分)!


Dインターナショナル王座戦:力道山(ch)vs.ザ・デストロイヤー(12/2/63)
  力道山がフライング・ヘッド・シザース。
  デストロイヤーは抜け出ると脚を取ろうとする。
  力道山はすぐにコーナーに逃げる。
  デストロイヤーがショルダー・ブロックを入れてから離れる。
  デストロイヤーが首投げを打っても
  力道山がすぐにグラウンド・ヘッド・シザースに切り返す。
  何度しても 同じ。
  5分経過。
  デストロイヤーがリバース・チン・ロック。
  力道山がロープを掴む。
  デストロイヤーは中々外さないが力道山が空手の構えを取るなり場外に避難。
  デストロイヤーが背中から腕を極める。
  力道山は体勢を整えるとベア・ハグ。
  デストロイヤーがロープに脚をかける。
  デストロイヤーはボディ・シザースに捕らえたままカウント5寸前まで離さない。
  両者離れる。
  デストロイヤーがハーフネルソンを狙うもコーナーに逃げられ、
  離れぎわに背を叩く。
  今度は力道山がバックを取り寝技に持ち込もうとするも
  デストロイヤーはすり抜け場外で間をおく。
  10分経過。
  脚を取ろうとしてきたデストロイヤーにフロント・ヘッド・ロック。
  デストロイヤーはロープ・ブレイクで逃れる。
  力道山はデストロイヤーを持ち上げるとエプロンに下ろして心理戦を仕掛ける。
  デストロイヤーがアーム・ドラッグ。
  力道山が逃れる。
  デストロイヤーがフロント・ヘッド・ロックから丸め込むもロープに脚がかかる。
  デストロイヤーは顔をひっかいたり
  ロープで締め上げたりする。
  ドロップ・キックも決める。
  力道山をコーナーに押し込むとショルダー・ブロックへ。
  力道山は避けると逆にデストロイヤーをコーナーに追いつめる。
  デストロイヤーは許しを請うと場外に逃げ間を置く。
  15分経過。
  力道山がボディ・スラムから顔を踏みつける。
  デストロイヤーが場外で間をおく。
  デストロイヤーがサミングに顔をかきむしる。
  首投げからドロップ・キック2発。
  ニー・ドロップからダイビング・ニー・ドロップヘ。
  避けられ自爆。
  だが先に起きあがりボディ・スラム。カウント2。
  ボディ・スラムからカバー。カウントは2。
  ならばとボディ・スラムからロープ悪用し1,2,3!
  デストロイヤーが先取(18分)!
  1本取られてはやる力道山に対し
  デストロイヤーは場外で間を置きじらす。
  デストロイヤーが4の字を狙う。
  力道山は決まる前にロープに逃がれる。
  デストロイヤーがコブラ・ツイスト。
  力道山はロープに逃れる。
  離れ際に空手チョップを放ち1,2,3!
  これで力道山が追いつく(22分)!
  デストロイヤーはコーナーに押し込むと殴りつける。
  腕を蹴りつけニー・ドロップ・。
  ロープ悪用のカバーに行こうとする。
  力道山がその前にロープに脚をかける。
  だがデストロイヤーは離れずダブル・ニー・ドロップ。
  力道山の脚をロープにのせヒップ・ドロップへ。
  力道山は避けると踏みつけチョップを打っていく。
  デストロイヤーはガードするも場外に転落。
  デストロイヤーは力道山の脚を取って倒すとロープを使って伸ばす。
  リングに戻りレッグ・ロック。
  ロープを使って威力を強める。
  力道山がロープを掴む。
  デストロイヤーはリング中央に持って行き4の字を狙う。
  力道山が体を反転させる。
  デストロイヤーは力道山の体を戻し4の字を狙う。
  力道山はデストロイヤーの脚を掴んで完全には決まらないようにする。
  完全に決まる!
  力道山がロープを掴むもデストロイヤーはすぐには離さない。
  またも4の字を狙う。
  力道山は体を反転させるも戻されロープを掴む。
  力道山は4の字を狙うデストロイヤーを蹴り飛ばして落とす。
  力道山もリングを降りる。
  デストロイヤーはヘッド・ロックに捕らえると、そのままエプロンにぶつける。
  デストロイヤーがリングに戻ろうとする。
  力道山が戻らせない。
  デストロイヤーが再びヘッド・ロックからエプロンにぶつけていく。
  力道山がバック・ドロップに切り返す!
  力道山がリングに戻った所でカウントアウト!
  力道山の勝利(30分)!
  納得できないデストロイヤーが力道山に噛みつくも引き離される。

試合結果

@テディ・ボーイvs.モデスト・アレド(French Catch 10/13/60)
A3本勝負:ロジャー・デラポルテ、アンドレ・ボレvs.ギルバート・ルダック、ロバート・ガセル(1-1)(60分時間切れ)(French Catch 12/14/61)
Bダン・オーブリットvs.ピエール・ベルナール(French Catch 11/9/62)
Cインターナショナル王座戦、3本勝負:力道山(ch)vs.ザ・デストロイヤー(2-1)(カウントアウト)(JWA 12/2/63)
Dなし