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全日本プロレス/大日本プロレス:AJPW vs. BJW Seriesの分析


名勝負 なし
好勝負 関本大介、岡林裕二vs.征矢学、真田聖也(全日本プロレス 2/6/11)

アジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二(全日本プロレス 3/21/11)

アジア・タッグ王座戦:関本大介、岡林裕二(ch)vs.征矢学、浜亮太(大日本プロレス 4/28/11)

@関本大介、岡林裕二vs.征矢学、真田聖也(全日本プロレス 2/6/11)
 (30分中21分収録)
 征矢がまったく相手への気遣いの無い重過ぎる打撃を見せています。
 これに対し大日側が打ち合いながらも変化付けの配慮をする形。
 ヘビー級の暴れっぷりが存分に堪能できます。
 こういう試合は意外と日本がトップ・リードしているんだよねぇ。
 一方でマッスル・モンスターの世界であるが故に
 真田の独自の魅力に基づいた見せ場はいまいちです。
 終盤は控えも積極的に絡み面白い攻防を見せています。
 相変わらず征矢は考えなしながら気持ちよい暴れっぷりを見せるし、
 関本は流石の試合の導き方を見せています。
 中盤では外れ気味だった真田も粘りで貢献し観客を熱狂させました。
 ぎりぎり好勝負。

A関本大介、岡林裕二vs.征矢学、真田聖也(全日本プロレス 2/11/11)
 (30分中21分)
 ショルダー・タックル耐えあい、といった絵重視の攻防。
 30分という事でそれを次に繋げるという構築でもなく余りその意味はない。
 真田は孤立シーンにおいて余り差異を感じさせれない受け。
 征矢のぶつかり合いも盛り上がりきれない。
 どうも密度で勝負できていない内容です。
 スポットの見せ方のテンポは流れとして見せるそれなのに、
 流れを活かす配置に関してそれを考え抜く程の能力もないのです。
 背反して完全な劣化版と化してしまっている。
 平均より少し上。

Bアジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二(全日本プロレス 3/21/11)
 ショルダー・タックルの耐えあいが無いように構図立ては最小限にされています。
 カウント1による意思表示や控えがノー・タッチで入る見せ場もありますが、
 それが活用されるシーン数は驚くほど少ない。
 かといって規律を失ったぶつかり合いという事でもない。
 既に試合前から存在する真剣な面持ちを害する様な感情の刺激し合いはありません。
 試合というものはレスラーとは別の外部的存在だけど
 この試合の熱はこの4人の内部に他の一般的な試合よりも依拠している。
 紛れも無く熱のある試合だが、一般的な熱のある試合とは違う。
 その熱は空気を通って伝わるに任せている。
 この試合の顔ぶれを眺めるとこの言葉を使って評するのはまったくもって奇妙な話だが、
 大和撫子のような奥ゆかしさを持っている。
 だからこそ他の同一カードと違って征矢、関本、岡林の原初的な攻防に
 真田のクイック、ハイ・フライが見事に共存している。
 2011年を代表するタッグの一つ。
 文句なしに好勝負。

Cアジア・タッグ王座戦:関本大介、岡林裕二(ch)vs.征矢学、浜亮太(大日本プロレス 4/28/11)
 観客が全日組みを外敵として迎え入れているており、
 初めて愛憎入り混じる対抗戦の色合いが出てきました。
 それを踏まえてより感情的に動き、征矢はヒールっぽく荒々しい振舞っていますね。
 しかしこの試合に一番貢献したのは意外な事に浜。
 クラッチできない、重すぎるという理由で
 関本、岡林を持ってしても投げられないという設定なので
 3人とは違う位置づけでそもそもキー・プレイヤーなのです。
 浜を投げようとする挑戦はその意気だけで大いに観客を盛り上げていますし、
 終盤には浜を投げれるかという勝敗に関係ないラインと
 その浜を除外して試合を決着させる、というラインが同時に存在していて豊かになっている。
 また浜自身もふてぶてしいキャラを楽しんで演技し観客を煽っています。
 その能力が無いという理由もある事は否定できないでしょうが、
 動きたくなる所をじっと我慢して相手のリアクションを待つ事で、攻防をより表現的にしたのも良い。
 和製ベイダーを目指す方向性も非常に可能性を感じる所でした。
 このまま不要な技術を身につけるより自分のシンプル性を理解し、
 それを最大限に活かすキャリア・ステップを描いて欲しいですね。
 ついでに征矢もヒール要素で慣れない頭を働かせた分、ギアがかかるのが遅れたものの
 終盤になると関本と素晴らしいコンビネーションの攻防を行っていました。
 浜のキャリア・ベスト。
 文句なしに好勝負。

Dアジア・タッグ王座戦:関本大介、岡林裕二(ch)vs.征矢学、真田聖也(全日本プロレス 6/19/11)
 大日側にサブミッションをベースに使おうという意識が見られます。
 確かにそれは溜めとして機能するものの
 スポットを効果的に見せるより濃度で勝負するのがこのカードだったはずです。
 基本に基づいた試合構築によってスケールが小さくなっています。
 また今回はこれまでに比べ二十数分と短めになっています。
 どうしても見せ場は同じような物が多いので
 前回より早く試合が進む理由付けが欲しい所です。
 場外投げといった過激な物があっても良かったと思うのですけどね。
 またこれまでトップ・リードしていた征矢に元気がないですね。
 真田が征矢をサポートする構えを見せていた所を見ると、
 王座を奪われた後、真田がCC準優勝するなどパートナー間で実績の差が出来たという
 ストーリー状況を上手く試合の中で表現したとも言えるのですが、
 その点で言うならば数え歌の終決戦になるのであろうこの試合で
 征矢はブレークスルーを見せる事が求められるストーリーです。
 しかし征矢がそれを成し得る前に真田が、
 それもこのカードの色合いからずれたムーンサルトでフィニッシュするので呆気に取られます。
 ちょっと期待外れな内容。
 まあまあ良い試合。 

Eアジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二(全日本プロレス 10/23/11)
 5回目の対決。
 先発した真田がいきなり捕まり長く孤立する展開です。
 これを普段やらないのは様式立て、設定が不十分なままタッグの中核を行うからです。
 それでも普段と違う印象を与えるためにやるというのなら
 その特別性を裏付けるリアリティーが欲しい。
 関本、岡林はパワフルですが、もっと戦略性がなければいけませんし、
 真田も技の間に必死に抵抗しなければいけない。
 しかし軽い孤立を相互が重ねる時のような
 技を配置していく構築になっていました。
 真田がスプリングボード式ドロップ・キックを決めてタッチするのは
 まるで時間が来たから孤立を終了させたみたいで
 いつでも終わらせられたんじゃないかという印象さえ与える。
 しかし技自体は素晴らしいものでした。
 岡林は関本を上回っているといっても過言ではない程力強かったですね。
 孤立後は一進一退ですが、
 征矢を中心にしたスポットを織り交ぜている所が新しいですね。
 征矢自身の成長も目立ちました。
 アピールを使いこなせるようになりましたし、格好のつけ方も意識しています。
 充実したスポットの打ち合いで良い意味でどうやって終わるんだ、と
 試合から目を離せない内容となっていました。
 4回目からクオリティを上げてきましたが数え歌としてはこれで終わりか。
 大日の方は現在進行形の岡林が
 この数え歌の中核を担っていた重厚な技という面で関本を超えてしまっている感があるし
 全日の方は真田がCC準優勝などトップに本格的に入っていく中で
 弱さ、そこからの意地が見えなくなり、征矢とのメリハリが消えてしまっています。
 好勝負に少し届かず。

FRWTL戦:諏訪魔、征矢匠vs.関本大介、岡林裕二(全日本プロレス 11/29/11)
 匠は新人ですが体に厚みがあるから
 技、打撃も絞め技も、が粗くても見れます。
 そしてそういうので勝負する試合にするには大日組は最高の相手です。
 さて諏訪間と対峙にする時はオーラ、強さの堅持が勝負の要素に入ってきます。
 そうなると積み重ねる綺麗な構築しかできない関本は分が悪い。
 そしてこれまでのvs.真田、征矢では時に関本を上回る輝きを見せていた岡林はというと尚更です。
 そのために諏訪間>関本>岡林>匠という順番になる。
 しかし1番、4番vs.2番、3番というパワー・バランスは試合を描きやすい。
 序盤と終盤に諏訪魔が暴れっぷりを見せ、中盤に匠が孤立すれば良いのです。
 諏訪魔は思いっきりぶつかり、征矢学以上の迫力を平然と出しています。
 大日勢は緩急、技の組み合わせ、タッグの戦略、どの要素も押さえていて鉄板の試合運び。
 そして匠ですが新人とは思えないですね。
 気持ちの見せ方、受け身の揺らぎ方、ここぞで緩急をつけなければいけない事の理解が出来ている。
 兄と同じパワー・ファイターかと思いきやオールラウンダーの素質がありますね。
 今後の成長が楽しみになる選手で諏訪魔と組ませた選択は素晴らしい。
 好勝負に少し届かず。

Gアジア・タッグ王座戦:関本大介、岡林裕二(ch)vs.諏訪魔、征矢匠(大日本プロレス 12/18/11)
 大日本プロレスに王座奪還に乗り込むとあって
 全日組は荒っぽく立ち回っていますね。
 諏訪魔は憎たらしいほど強さの象徴として見得を利かし、
 匠も新人故に裏付けがなくややか細い表現だが、
 こういう事に関してもやるべき事は既に何となく理解しています。
 全日の脅威をアピールすべく関本の孤立に持ってきましたが、
 関本は序盤作りにおいて怪物的に動かないのでその展開は十分に効果を発揮していません。
 関本が適切な流れにのって岡林のスポットにつなげましたが、
 その後これまでのアジア・タッグと同じように並列的にスポットを積み重ねる構築に。
 相手に新人の匠を含む凸凹タッグなのにこの構築はいけませんね。
 また全日側も諏訪魔が控えに回り過ぎです。
 11/29の試合と違って徐々に匠の居場所がなくなっていた状況で
 大日>全日のパワー・バランスを助長させ無駄にダラダラしている印象を与えます。
 RWTL戦なら匠の成長を期待する気持もわかりますが、
 王座戦となるともっと諏訪魔が前に出てきてしかるべきです。
 試合後に関本とのシングルをぶち上げるなら尚更ですね。
 全開が素晴らしかっただけに期待外れの、まあまあ良い試合。

(執筆日:12/20/11)

注目試合の詳細

Cアジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二
 関本対征矢で試合開始。
 関本がロープに振られショルダー・タックル。
 エルボーの打ち合い。
 髪を掴んで組み合う。
 レフェリーでも離せず控えに離れさせるよう言う。
 関本と征矢がマウントで殴りあう。
 真田対岡林。
 まずは軽くレスリング。
 腕をとられた真田は側転、跳ね起きからリスト・ロック。
 岡林がチョップで倒しカバー。カウント1。
 上にかぶさる。
 真田がブリッジ。
 そこから起き上がると力比べ。
 トップ・ロープにのるとそこから跳びアーム・ドラッグ。
 ロープに走った岡林にドロップ・キックを決め落とす。
 ダイブを狙うべくロープに走る。
 岡林がすぐにリングに戻りカウンターでラリアット。カウント2。
 真田は場外に転がり出て間を置く。
 岡林はリングに戻ってきた真田に殴りかかる。
 真田は押さえられながらも自陣に押し込む。
 岡林と征矢がチョップの打ち合い。
 征矢が自陣に引き込みタッチ。
 関本がチョップを打ち込んでいく。
 征矢が体勢を入れ替えチョップ連打。
 チョップの打ち合い。
 関本がドロップ・キックで倒す。
 征矢が組むもそこから動かせない。
 ならばとエルボー連打。
 交代した真田がストンピング。
 コーナーに振る。
 カウンターで蹴りを食らうもエプロンの征矢がラリアットで関本を沈める。
 2人で関本をロープに振りショルダー・タックル。
 征矢がエルボー・ドロップ連打。カウント2。
 真田がキー・ロック。
 関本が食らいながらも持ち上げコーナー上にのせる。
 クリーンに離れようとする。
 そこに真田がミサイル・キックを叩き込みキー・ロック。
 関本が持ち上げ後ろに叩きつける。
 征矢を殴り落とす。
 交代した岡林がバタフライ・ロック。
 返そうとする真田にボディ・スラム。
 征矢を殴り落とす。
 15分経過。
 タッチすると2人でショルダー・タックル。
 関本は征矢を指差し倒れている真田を見せ付けるようにする。
 ボディ・スラム。
 岡林がボディ・スラム。
 関本がボディ・スラム。
 岡林がボディ・スラム。
 関本がボディ・スラム。
 岡林がボディ・スラム。
 タッチして征矢を場外に押さえに行く。
 関本がブレーン・バスターからカバー。カウント2。
 ボストン・クラブ。
 征矢がリングに入ろうとするも岡林に足を掴まれて入れない。
 真田が何とかロープを掴む。
 関本がコーナーに振り突進。
 真田はかわすとバック・ドロップ。
 タッチ。
 征矢はまずリングに入ってきた岡林にエルボー。
 関本をコーナーに振りラリアット。
 ロープに振りパワー・スラム。
 カットしてきた岡林をロープに振ろうとする。
 振り返されるもフライング・ラリアット。
 関本にブレーン・バスターを狙う。
 関本も持ち上げようとする。
 征矢が最後は持ち上げ決める。カウント2。
 コーナーに振り突進。
 関本がカウンターで蹴りをいれミサイル・キック。
 交代した岡林がチョップ。
 コーナーに振りラリアット。
 コーナーに振りラリアット。
 担いでアバランシュ・スラム。カウント2。
 エルボー連打。
 征矢が連打しロープに走る。
 岡田がバック・エルボーいれロープに走る。
 征矢がカウンターでスピアー。
 タッチした真田がスプリングボードを狙う。
 岡林がかわしてロープに振る。
 真田はラリアットをかわしてフライング・エルボー。
 スタンディング・ムーンサルトにつなげる。カウント2。
 バックを取る。
 岡林がバック・エルボーで振り払いヘッド・ロック。
 真田はロープに振ると対角に走りアブナミドル・ストレッチ。
 ロープに向かう岡林にローリング・クレイドル。カウント2。
 インサイド・クレイドル。カウント2。
 もう1発狙う。
 岡林が耐えてそこから投げる。
 交代した関本がコーナーに振りラリアット。
 アルゼンチン・バック・ブリーカー。
 カットしようとした征矢に岡林がアルゼンチン・バック・ブリーカー。
 中々ギブ・アップしないので諦めて下ろす。
 関本はロープに走るとラリアットへ。
 真田はかわすと延髄切りを狙う。
 関本はかわすとSTF。
 征矢がカット。
 真田はぐったりしている。
 25分経過。
 岡林が控えの真田を殴り落とす。
 2人で真田をロープに振るとそれぞれラリアット。
 関本が持ち上げセカンド・ロープ上の岡林に渡す。
 そこからアバランシュ・スラム。
 カウント2で征矢がカット。
 関本は征矢を落とすとトペ・スイシーダ。
 岡林が真田にバック・ドロップを狙う。
 真田が後ろに着地しバック・スライド。
 岡林がカウント2で返しラリアット。
 ロープに走りラリアットを狙う。
 真田がかわしオコーナー・ロール。カウント2。
 ドロップ・キックで岡林を倒す。
 タッチした征矢がまず場外の関本にスライディング・キック。
 岡林にバック・ドロップ+フライングの合体技。
 2人で岡林をコーナーに振るとドロップ・キックにラリアット。
 征矢がトルネード・ボム。カウント2。
 関本を再び場外に出すと真田が岡林を押さえつける。
 征矢がダイビング・ラリアットを決めるもカウント2。
 2人で岡林をロープに振りダブル・クローズラインを狙う。
 岡林がかわしダブル・クローズラインを狙う。
 真田、征矢はかわすと蹴り。
 2人でブレーン・バスターを狙う。
 岡林は耐えると逆にブレーン・バスター。
 タッチした関本が征矢を持ち上げアトミック・ドロップ。
 ボストン・クラブ。 
 30分経過。
 真田がスプリングボード式ドロップ・キックでカット。
 岡林は真田をボディ・リフト。
 場外に落とす。
 岡林がダイビング・ボディ・プレス。
 続けて関本がフロッグ・スプラッシュ。
 征矢がカウント2で返す。
 2人で征矢をコーナーに振る。
 岡林がバックを取る。
 更にそのバックを関本が取り連鎖ジャーマン。
 カバーするも真田のカットが間に合う。
 関本が真田をコーナーに振る。
 真田が一回転してエプロンに出て
 スプリングボード式スピン・キック。
 岡林にプランチャを狙う。
 岡林が受け止め鉄柱にぶつける。
 リングでは征矢と関本が同時にラリアット。
 同時にラリアット。
 征矢がロープに走る。
 関本がカウンターで延髄切り。
 ショート・レンジ・ラリアットを決めるもカウントは2。
 ショート・レンジ・ラリアット。
 更にデッドリフト・ジャーマンにつなげカウント3!
 岡林、関本が新チャンピオンに! 

試合結果

@関本大介、岡林裕二vs.征矢学、真田聖也(30分時間切れ)(全日本プロレス 2/6/11)
A関本大介、岡林裕二vs.征矢学、真田聖也(30分時間切れ)(全日本プロレス 2/11/11)
Bアジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二(新チャンピオン!)(全日本プロレス 3/21/11)
Cアジア・タッグ王座戦:関本大介、岡林裕二(ch)vs.征矢学、浜亮太(大日本プロレス 4/28/11)
Dアジア・タッグ王座戦:関本大介、岡林裕二(ch)vs.征矢学、真田聖也(新チャンピオン!)(全日本プロレス 6/19/11)
Eアジア・タッグ王座戦:真田聖也、征矢学(ch)vs.関本大介、岡林裕二(新チャンピオン!)(全日本プロレス 10/23/11)
FRWTL戦:諏訪魔、征矢匠vs.関本大介、岡林裕二(全日本プロレス 11/29/11)
Gアジア・タッグ王座戦:関本大介、岡林裕二(ch)vs.諏訪魔、征矢匠(大日本プロレス 12/18/11)