コラム:Q.色気、スケール感とはどのような意味でしょうか?
Q.レビューの中で出てくる色気、スケール感とはどのような意味でしょうか。
■色気
色気ですが、アクション自体からは基本生まれず、
表情、仕草、間といった立ち居振る舞いから醸されます。
以前タカラヅカを見に行きまして、
ジャンル自体はあまり私の好みではありませんでしたが、
トップ・スターが視線から指の先まで
意図的にコントロールしているのを見て大変感心したことがありました。
色気にも色々な種類がありますが、
感情の発露では猪木、間では武藤、アピールではミスティコ等
が挙げられるのでしょうね。
また特殊な例として
信念、スタンスにも色気を感じることがあって
その点で歪な道を行くデス・マッチ・ファイターに
その技能以上にそれを感じることもしばしばありますね。
そしてその代表例としてイアン・ロッテンに思いを馳せれば
失礼ながら色気とは外見の格好良さに関係ないことが分かります。
冒頭でアクション自体からは生まれないと言いましたが、
アクションが起点、もしくは帰結にあるので、
そういう意味では俳優がリングに上がっても色気は生み出せません。
反対に痛みに強い総合格闘家であっても
売れる為のショーマン・シップだけでは不十分です。
色気には上記の通り幾つかの方法がありますが、
重要なのはそれぞれのレスラーが持つ個性、
これに合った方法でなければ辿り着けない境地ということです。
■スケール感
スケール感は色気に比べるともっとシンプルな概念です。
2種類あって1つ目は先程と異なり技自体に起因します。
ドロップ・キックやハイ・フライが分かりやすく、シンプルなその高さです。
その為身体能力にも比例してきます。
インパクトある技を連発すればスケール感が出る訳でもないので、
その技に持つイメージをどこまで超えていくか、
絶対値ではなく相対値の世界ですね。
そして相対値ゆえに技一つだけでは不可能で、
繰り出す技一つ一つが満たして初めて作り出せます。
その点でコンディショニングも密接に影響してきます。
もう一つは構築のスケール感です。
プロレスの進化に伴って戦う戦場はリングの中心から
コーナー、ロープ際、そしてコーナー上、エプロン、
場外(それは更に実況席や観客席へ)と増えていきました。
このリング中心以外の場を
黄金比的な美しい配置で織り交ぜていけるかです。
目の前の相手に熱さを持って立ち向かうことが求められ、
痛みを受け止めていく中で、
頭は冷静に試合の全体像を思い描けるか。
一般的なアスリートの世界とは違って
プロレスだからこそより求められる特異なスキルですね。
(執筆日:6/?/20)