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Cirque de Soleil:Quidamのレビュー


内容 空想の世界へ逃避するひとりの少女の物語。

キダム、それは街角をさまよう名もない孤独な通りすがりの人。 どこにでもいるありきたりの人 。どこにでもあるような街の中を行き来し、生活をしている人。群集の中の 一人、静かな大衆の中の一人。 私たちと一緒に叫び、歌い、夢を見る人。それが シルク ・ ドゥ ・ ソレイユ の「キダム」 です。

見るべきものは既にすべて見てしまい、世界はすべて意味を失ったいらだつ一人の女の子 。怒りが彼女の小さな世界を打ち壊し 、キダムの世界にいる自分を発見した彼女は、愉快な仲間、そして不思議でちょっぴり怖い世界に誘い込もうとするミステリアスな人に会っていきます。
(公式HPより)
演目リスト ・ジャーマン・ホイール:シール・ホイールの太いVer。
・ディアボロ:ハンドスティックの糸の間で独楽を回す芸。
・エアリアル・コントーション:上空から垂れ下がった布に身体をまきつけての演技。
・スキッピング・ロープ:大縄跳びを交差させたり、中で縄跳びをしたりする演技。
・エアリアル・フープ:上空からつるされたフラフープにぶらさがっての演技。
・ハンド・バランシング:その名のとおり手でバランスを取りながらポーズを取っていく芸。
・スパニッシュ・ウェブ:天井から吊り下げられたロープを使う複数人による芸。
・バイス・バーサ:デュオが相手の身体を持ち上げバランスを取る技。
・クラウド・スイング:バンジー・ロープをブランコのように使う芸。
・バンキン:複数人が人間タワーやシンクロした動きを見せる芸。
レビュー ダーク・ファンタジーとも違う具象性に欠ける私風景を背景にした作品。
他の作品の気づきを細やかに取り入れていますね。
コルテオで失敗した機械仕掛けの装置は演目には関わらない、
バックグラウンドのシンプルなセットにのみ適用するという形で上手い効果を挙げています。
ラ・ヌーバのようにバックグラウンドとしての人の動きもある。
要所で演目とは関係ない人がステージ周辺を走り回り雰囲気を高めます。
アレグリアのような音楽と演目のフィットも見られましたね。
そんな中で新しかったのが足を踏んだり物に触れたときに効果音を起こすシステムでした。
まるで内部の心理変化が外部の行動と同期している様を示すようで不思議な雰囲気を生み出す事に大きく貢献しています。
 
演目は派手さや際立ったものはないが、じっくりと楽しませてくれる。
ジャーマン・ホイールは演者の観客への見得切りが良く、
ディアボロを演じる少女は3人の息の合った様がコンセプトにマッチしている。
エアリアル・コントーションは心理的な移ろいを激しくも艶かしく表現している。
スッキピング・ロープ、エアリアル・フープは演目が
何をするかだけではなく、どう見せるかによっても決まる事を突いた逸品。
スパニッシュ・ウェブはDVDでは装置の凄さが伝わらないが、
ライブの固定視点で見てこそ映えそうな演目です。
バイス・バーサはプロレスの間に通じる表現法で象徴性を持たせている。
まだ演者の視点の置き方など改善点はあるが、こういう見せ方の演目はもっとやるべき。
クラウド・スイングはメイン前でかなりあっさりめ。
バンキンは道具を使わないが故にこのショーにまさにうってつけの演目。
演目の間に挟まれるピエロですが、ヘンテコなキャラが先走って笑いはすべり気味です。
しかし他のショーと違ってこの部分も世界観を統一したのは良かったですね。
 
一目で訴えかけてくるような他を圧倒する売りはないものの
他のショーをバランス良く取り込んで非常に完成度の高い作品に仕上げています。
サーカスと演劇が絶妙にブレンドされ、不思議な映画を見ているような臨場感も醸し出します。
お勧め度 ★★★★☆