Cirque de Soleil:La Noubaのレビュー
内容 | イマジネーションの果てしない祝祭の旅。 ショーのタイトル、La Nouba は、フランス語の "faire la nouba" に由来します。「おおいに楽しむ」という意味です。 それは、都会とサーカスの世界がステージで出会うように、夢と現実が絡み合う世界。 La Nouba では、アクロバット、目がくらむような振り付け、奇抜なキャラクター、ライブミュージックが溶け合い、ショーの開幕から閉幕まで、イマジネーションそのものの世界が展開されます。 (公式HPより) |
演目リスト | ・ジャーマン・ホイール:巨大車輪の中心に入ってデュオで回転運動。 ・ハイ・ワイヤー:シンプルな綱渡り。肩車したりバク転したりします。 ・ディアボロ:少女3人が両手に持った糸で独楽を回します。 ・サイクル:自転車で観客を飛び越えたり、下の段に飛び降りたりします。 ・エアリアル・クレイドル:空中につるされた扉に掴まっての演技。 ・エアリアル・バレエ・イン・シルク:ロープに掴まって飛び上がるフライングマンと掴まった状態での変化を見せるエアリアル・コントーションとの複合。 ・バランシング・オン・チェア:幾つ物椅子を積み上げていきます。 ・フライング・トラピス:シンプルな空中ブランコ。 ・パワー・トラック トランポリン:中央に配置したビルとその周囲に配置されたX字トランポリン組み合わせたアクション。 |
レビュー | ジャーマン・ホイールは演者の動きもバックグラウンドの人の歩きも統制が取れていて悪魔的です。 それは無機質でありながら実に人間的です。 ハイ・ワイヤーは一方で純サーカス。 穏やかな曲調で見せ方を観客に伝えている気配りが光ります。 そして下で悪魔達の見守る姿が素晴らしく、純サーカスを聖の存在として混一した世界観の中での存在を認めている。 ディアボロはコンビネーション良く技も良いが、 ここで何よりも大きな効果を生み出しているのはディアボロの扱いよりもそのステップである。 可愛らしくもあり、その動きは同時に悪魔的でもある。 サイクルで再び現実的な演目に戻してくる。 ここではバックグラウンドというには余りに魅力的なピエロ4人集、レ・コンが大活躍します。 エアリアル・クレイドルは後半への幻想的空間への転調の役割も果たしている。 文字通り新しい世界への扉だ。 エアリアル・バレエ・イン・シルクは字面では只2つの演目を融合させただけに見えるが 次にどういう表現にくるかまったく分からない程自由で、また重力を感じさせない動きがひたすらに美しい。 まるでプロレスにおける極上のレスリング・マッチみたいだ。 バランシング・オン・チェアは演目上方向性が限られている。 その中でどのような構造物を作るかを考え抜き、高くなった時に渡し方を工夫しているのが良い。 そしてその演目を行う理由が、只1本のろうそくに火をつけるためだというのだからロマンチックだ。 フライング・トラビスは純サーカスの花形といえる演目で素晴らしい。 しかしステージ・セットを横断するこの演目の魅力が最大限に引き出されているのは これまでのショーの過程で演者だけでなくバックグラウンドの人にまで気を配りステージ全体として常に見せてきたからだ。 最後のパワー・トラック トランポリンは実に斬新なアイディアである。 これまでトランポリンというとどうしても高さ方向からの変化で捉えられてきた。 それがビルと組み合わせる事で高さは縦になったり横になったりする。 言うなればタイガー・マスクの四次元殺法ばりの衝撃である。 演目の間に挟まれるピエロも今回最高だ。 観客との空気感を大事にする王道芸で、 ガチのアクシデントを扱ったオチ、トムとジェリーを思わせるドタバタ劇が見られる。 純サーカスと世界観でタッチを加えた表現サーカスを見事に融合させた演目構成。 アイディアからアクションを豊かに発展・追及した演目内容。 演目はアクションだけではなく観客の目に映る全てによって成り立っているとの考えに基づき、 バックグラウンドの他の人の演技を創りこんでいった完成度の高さ。 サーカス、新サーカス、演劇etc。 そういうカテゴライズが無駄と思える程広範な要素を自然と一つに溶け込ませている。 唯一残念なのはカメラ・ワークがちょっと悪い事だけ。 間違いなくシルクの最高傑作。 |
お勧め度 | ★★★★★ |