TOPアメリカン・プロレスWWE 2011年 →WWE:Survivor Series 11/20/11

WWE:Survivor Series 11/20/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@US王座戦:ドルフ・ジグラー(ch)vs.ジョン・モリソン
 ジグラーは勝手に盛り上がり操り難い観客を良く見て
 的確なスポットを配置している。
 またWe want Riderというチャントを起こす観客に
 目の前のモリソンを見ろ、と促す努力を怠りません。
 そして攻防も優れていて、とトータル・パッケージの活躍を見せました。
 エッジ戦が思い起こされますね。
 離脱が噂されるモリソンは試合に貢献する割合が少ないものの
 決して意識が低い訳ではなくありませんでした。
 ただこの観客の反応はどちらにせよ駄目押しになってしまうのでしょう。
 平均的な良試合。

Aディーバズ王座戦、ランバージャック・マッチ:べス・フェニックス(ch)vs.イヴ・トーレス
 イヴは腰を振って自らをセクシー系に位置づけましたが
 どんな選手か良く見てみれば本格派を気取る蹴りをスタイルに組み込むも使いこなせておらず、
 アピールもリズムもない残念な選手です。
 ベスも中々+αの試合を見せる機会に恵まれないですね。
 最後がトップ・ロープからグラム・スラムでフィニッシュになるように
 女子の技レベルの上限は引き上げられているが依然としてトイレ・タイムでしかない。
 ならば2試合目では駄目でしょう。
 ひどい試合。

Bサバイバー・シリーズ・イリミネーション・マッチ:ランディ・オートン、シェーマス、メイソン・ライアン、コフィ・キングストン、シン・カラvs.ウェイド・バレット、コーディ・ローデス、ドルフ・ジグラー、ジャック・スワガー、フニコ
 ジグラーは2試合目という影響を感じさせないのに
 油断して速攻で脱落するというストーリーとなっています。
 わざわざ2試合組む特殊状況を作り上げておいてこんな微妙な形ではいけませんね。
 シン・カラは同時ダイブというスポットでミスして負傷退場。
 大したことないミスなのに欠場期間は長く、首というニュースが飛び込んできても疑わない。
 ミステリオvs.シン・カラが実現する事はあるのでしょうか。
 このアクシデントで流れが切れますが、試合はアドリブを聞かせず前後で同じことをやっている始末。
 バレットは基本技の見せ方をより向上させて厳しい攻めを見せれるようになり魅力的になっています。
 しかしリーダーという位置づけ上バレットではなく他が動くべき場面がありました。
 これは1年前のSSでも言いましたね。
 ライアンは場の状況との兼ね合いがまったくですが
 技単発で見ると捨てがたいパワフルさを持っている。
 Rawの12人タッグの方がよりスマートに機能していましたね。
 シェーマスはブル・ファイターとしての力強さが戻ってきています。
 しかし方向を見失った時にその打撃に頼る癖がありまだまだヒール時の安定性は見込めない。
 DQで脱落してしまいましたが説得力に欠けます。
 オートンみたく病気設定でもつくのでしょうか。
 フニコはマスクを脱ぎスタイルを変えましたね。
 TNAのアナルキアと完全に被っていますが小悪党メキシカンというキャラは良いかもしれない。
 只試合運びに関してはネグロの時の方が可能性がある印象はあります。
 コフィは高さがあり見事です。
 こういう形式をやる時には是非入れたくなるレベルです。
 スワガーは良い悪いの前に出番がほとんどありませんでした。
 コーディはどんな相手でも合わせられる上手さがありますが、
 自己価値の築き方としてはまだ後一歩物足りません。
 しかしバレットに従う2番手としては問題になりませんから
 バレット+コーディでSDを制圧していって欲しいものです。  
 残るオートンも良好な働き。
 リーダーとしては余り評価できませんが、こちらは寄せ集め色のチームですから元々求められていませんしね。
 試合としては両者ダウン多用など構成はすっきり形をつけています。
 しかし唯一のSvSイリミネーション・マッチとしては余りに簡易というしかありません。
 まあまあ良い試合。

C世界ヘビー級王座戦:マーク・ヘンリー(ch)vs.ビッグ・ショー
 ショーは序盤にレスリングを見せ、終盤+1のシーンではダイビング・エルボー・ドロップで魅せました。
 個人物の中で巨漢に飛び技は似合わないと考える人もいてショーは身体能力を発揮できていない、という話がありましたが
 それを乗り越えて観客に認めさせたという点でショーとしては大きい収穫でしょう。
 またショーが一般的な巨人のスタイルから脱却した事で
 前回みたいなヘンリーとの被りもなくなりました。
 それ故クオリティは一応あります。 
 只理より退屈が上回る所もあり、更にもう1回PPVで試合が組まれるかもしれない結果にびくびくする始末。
 平均レベル。

DWWE王座戦:アルベルト・デル・リオ(ch)vs.CMパンク
 パンクはデル・リオの安定したベースを信じ
 そこに変化を加えようと意識してレスリングを行っています。
 それぞれアナコンダ・バイスとクロス・アーム・ブリーカーという
 腕に関連する必殺技サブミッションを持っているのがキー。
 同じ目標を掲げるものの違う道筋で目指している、
 けれど方法論は同じレスリング・ベースなので試合が発展していきます。
 パンクが抵抗する中でデル・リオの狙いが微妙にずれていっているのが良いですね。
 その後は派手な持ち技披露になっています。
 もう少しテクニカルな見せ場を多く含んだ方が
 それまでの展開が最大限に活かされるでしょう。
 しかし両必殺技の見せ場を絞る構成にするならするで
 きっちりと一撃性を表現していたのは好感が持てます。
 日本公演の試合に期待させるには十分な内容。
 観客のパンク・フィーバーも一見の価値があります。 
 中々良い試合。

Eザ・ロック、ジョン・シナvs.ザ・ミズ、Rトゥルース
 実際にカードが組まれ実現した訳ですが本当にに実現するとは!という思いがあり、
 試合前の段階で結構ワクワクする所はありましたね。
 そして試合が始まれば魅了してくれました。
 レスラーとしての感性からではなく
 俳優としての計算からではありましたが見得は壮観でしたし、
 回転速度の速いアーム・ドラッグを初めとして持ち技でもきっちり印象に残しました。
 ただパンチ含め技をかけるタイミングは相手が合わせにくいものでしたね。
 また受け身をまったく取らず、相手を蹴散らすばかりだったのも目立ちます。

 さて、そうはいっても、ロックが相手を叩きのめす役を受け持つのは当然です。
 アメリカのプロレスの上手さは機能分担にあります。
 カリスマ性、印象付け、リズムに秀でるロックが攻めを担当し、
 独特のダメージ設定と鉄板の反撃の流れを持つシナが受けを担当するのは至極当然ではあります。
 ミズ、トゥルースも役所を別っていて、
 シナを孤立させる以外は主張を控えめにし、控え受けも含め受け回数を稼ぎ、
 孤立させるシーンではレフェリーの死角を突いたり、
 タッチまで持って行かせずに長引かせたりと王道を行っています。
 正確に言うならトゥルースは20分という大台に耐えきれていない試合運びで、
 シナへの攻撃の厳しさ、観客の煽りも不十分で「もう少し頑張りましょう」でしたけど。
 
 機能的に組み立てられた試合ですから悔しい事ですがこの試合は良い試合と言わざるを得ません。
 問題はロックがロックボトムを見せたWMの時と
 何ら状況が変わっていない事を痛烈に思い知らされる事です。
 ロックの受け身の取らなさ具合といったら
 ほぼ受け身を取らない立ち位置であるという傾向に収まる物ではなく
 俳優や司会者がリングに上がってきた時と同じ光景です。
 これは厳密な意味でのリング復帰ではありませんでした。
 そして何よりこの試合にはWMのドリーム・マッチへの中間ポイントという意味合いがあったはずです。
 ドリーム・マッチなのはそれぞれが世代のトップ・スターであるという事実に依ります。
 両者が序盤で観客の声を聴き、答えを示した所までは確かにそれがありました。
 しかしあろうことか孤立シーンにおいてシナのAAが脱出最後ではなく中間に配置され、
 タッチ成功後はシナがロックと並んで所かまったく技を打つ事はなく
 ロックのストレートな技披露でまとめあげられてしまった。
 これではシナがトップ・スターである意味合いがありません。
 シナに似た特性を持つジョバーでも同じ事が出来ます。
 ロックvs.シナの実現に向けてのストーリーを
 改めてスタート地点に、いや2人の間からずれた所に持って行ってしまったという点で
 今後に不安を抱かせる内容でしかなかったのです。
 まあまあ良い試合。

総評
 ディーバス王座戦を除けばどれも平均レベルを超えています。
 メインの話題性も否定する事が出来ず星0という事は出来ません。
 しかしWWE王座戦を除けば全ての試合に凶兆しか見えなかった。
DVD Rating:★☆☆☆☆
(執筆日:11/21/11)

注目試合の詳細

なし


試合結果

@コフィ・キングストン、ジョン・モリソン、レイ・ミステリオvs.ザ・ミズ、アルベルト・デル・リオ、Rトゥルース
Aシェーマスvs.マーク・ヘンリー(リングアウト)
Bディーバズ王座戦:ケリー・ケリー(ch)vs.べス・フェニックス
Cダニエル・ブライアンvs.ウェイド・バレット
D世界ヘビー級王座戦、ノー・ホールズ・バード:クリスチャン(ch)vs.ランディ・オートン(新チャンピオン!)
EWWE王座統一戦:ジョン・シナ(ch)vs.CMパンク(ch)