TOPアメリカン・プロレスWWE 2011年 →WWE:Hell in a Cell 10/2/11

WWE:Hell in a Cell 10/2/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

◆ミズ、トゥルースが観客席で観戦しているがローリネイティスによって追い払われる。

@クリスチャンvs.シェーマス
 シェーマスはゆったりとした試合運び。
 前回に比べベビーフェイスの形には近づいているが、
 そのシフトに伴い、彼自身の魅力であるはずの野性味もなくなっています。
 クリスチャンの挑発的な打撃に対する反応の見せ方、
 終盤開始時の猛攻の入り方も適切に出来ていないですね。
 クリスチャンはシェーマスの問題を踏まえて尚、
 彼ならもう少し綺麗にキャリーできる気がします。
 オートンとの数え歌で自由度の高い攻防をやっていて
 典型的な流れを作る腕が若干鈍っているのかもしれないですね。
 終盤は必殺技を頂点とせず時間をじっくりとった攻防。
 期待を下回った内容で平均レベル。

Aシン・カラvs.ダーク・シン・カラ
 まずはルチャのムーブを1ムーブだけ切り取って
 アメプロ的に観客へのアピールし合います。
 中盤はダーク・シン・カラがアメプロの基本に則った試合運び。
 終盤はシン・カラの流れにのりながら、
 ルチャでは定番のフィニッシャーで抗争を継続できる形で終了。
 試合構成は決して悪くないですね。
 むしろ、良いといっても過言ではない。
 ただBoringチャントが一部から起きたのも仕方ないのです。
 序盤は技を見せすぎで技に対する期待感を早々と満足させてしまったし、
 青と黄の照明はふさわしくないエキシビション的イメージを加えている。
 また本当のシン・カラはどちらだ、というテーマになっているからか、
 ダーク・シン・カラはヒールとしてのアピールが不十分。
 黒くなった時点で偽者と認めているようなものですから抑える必要はないと思うんですけどね。
 そしてお見合いだったり、技が軽く外れたりと細かいミスが多すぎる。
 それによって試合に対する移入感が大きく削がれています。
 平均レベル。

Bタッグ王座戦:コフィ・キングストン、エヴァン・ボーン(ch)vs.ドルフ・ジグラー、ジャック・スワガー
 序盤はエア・ブーンがインディーばりのユニークな連携技を見せていますが、攻防がかなり杜撰です。
 ボーンが捕まるきっかけなんて只のカウンターの蹴りです。
 しかしボーンの孤立、コフィの孤立から試合は良くなっていきます。
 ジグラーは技に行く前の抑揚が利いていて、
 スワガーは攻撃に高低差を加えて恵まれた体格を印象付けている。
 この2人がベビーフェイスを捕まえ、
 レフェリーの目を逸らしながら痛めつけて煽り、
 タッチできるか、できないかの見せ場を作る、という定番で盛り上げている。
 終盤はNWA時代ばりに尺が短く今の感覚からすると少し物足りないが、
 その締め方自体は素晴らしかったですね。
 まあまあ良い試合。

C世界ヘビー級王座戦、HIAC:マーク・ヘンリー(ch)vs.ランディ・オートン
 ヘンリーが戦略的に場所を移す重要性を理解していて
 オートンと同じ土俵で戦っているのは良いですね。
 その中でヘンリーの強さもアピール出来ている。
 ただ構成は不十分。
 セル攻撃をいきなり使ってしまうし、
 ヘンリーは腰攻めを行うも、
 その前にアバランシュ・スラム連発で下地は出来ていたのでダブっている。
 終盤もオートンが反撃からRKO炸裂までいっておりHIACにしてはシンプル過ぎます。
 まあまあ良い試合。

◆コーディがWWF時代のIC王座に新調しお披露目。
 ローリネイティスが現れ、HHHの命令により防衛戦を今から行うとアナウンス。

DIC王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.ジョン・モリソン
 コーディはスーツ姿で戦える状態にないといってヘタレる。
 だからこそモリソンはグラウンド・ヘッド・ロックなんてしていてはいけないんです。
 通常の序盤とは異なり、ここは猛攻をかける事が求められている。
 後半も技が点で線になっていません。
 一方のコーディは戦えないストーリーを演じていながら、
 いつものムーブ中心でなくアピールを前に押し出して試合作っています。
 モリソンの凋落が悲しくなる内容。
 少し悪い試合。

・ミズ、トゥルースが控室のエア・ブーンを襲撃しセキュリティーに連れ出される。

Eディーバズ王座戦:ケリー・ケリー(ch)vs.べス・フェニックス
 ケリーの勢い、ベスの重い反撃は前回と同じながら
 細かい一進一退はなく簡易になっています。
 3回目も連続させてマンネリ、試合にかける気持ちが弱くなっているという事です。
 終盤の攻防も比較的見所はあると思うのですけどね。
 悪い試合。

FWWE王座戦、HIAC:ジョン・シナ(ch)vs.アルベルト・デル・リオvs.CMパンク
 シナとパンクが同格のライバル関係にあり、
 デル・リオがヒールとして2人に狙われる関係です。
 つまり他と差別化されているのはデル・リオのみ。
 それ故に試合において機能を担うのも当然デル・リオとなります。
 しかしこのデル・リオがチャンピオンでないという事実。
 これならサマースラムで普通にデル・リオが防衛で良かった気がしますね。
 シナとパンクは3ウェイだというのに3戦目と同じ心構えで、早々に必殺技の攻防。
 このせいでこの試合には序破急の区別がほとんどついていません。
 パンクのインディー時代からの才能、3ウェイ・スポットのアイディアを所々に挟みながら
 只人を変え、技を変え、凶器を交えながら打ち合っているだけ。
 それはその瞬間、瞬間が楽しいというだけで、
 試合が進むにつれ面白みが深みを増したりする事はない。
 最後はDXがやっていたHIACで既出のセルの外に締めだされるネタでエンド。
 まあまあ良い試合程度。

◆試合後トゥルース、ミズが乱入。
 警察官に逮捕されて連れ出されます。
 HHHが2人に殴りかかるも役員に引き離される。

総評
 スタイルの完成度、相手と息の合わせ方、攻防のストック、
 復帰後の調整、マンネリ化の打開、試合構成。
 B以外どれもこれも2週間という短期間が影響している印象。
 特別良い試合はないが一方で目も当てられない試合もないし、
 トゥルース、ミズのサプライズもある。
 繋ぎのPPVとしてはこんなものなんでしょうね。 
DVD Rating:★☆☆☆☆
(執筆日:10/3/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@クリスチャンvs.シェーマス
Aシン・カラvs.ダーク・シン・カラ
Bタッグ王座戦:コフィ・キングストン、エヴァン・ボーン(ch)vs.ドルフ・ジグラー、ジャック・スワガー
C世界ヘビー級王座戦、HIAC:マーク・ヘンリー(ch)vs.ランディ・オートン
DIC王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.ジョン・モリソン
Eディーバズ王座戦:ケリー・ケリー(ch)vs.べス・フェニックス(新チャンピオン!)
FWWE王座戦、HIAC:ジョン・シナ(ch)vs.アルベルト・デル・リオ(新チャンピオン!)vs.CMパンク