TOPアメリカン・プロレスWWE 2011年 →WWE:Capitol Punishment 6/19/11

WWE:Capitol Punishment 6/19/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@US王座戦:コフィ・キングストン(ch)vs.ドルフ・ジグラー
 ジグラーが起こされた時などに動いて調整を図っていますね。
 コフィの能動性とそれは完全には一致していないものの
 小刻みに試合が動くという点で面白みが生まれます。
 中盤はやや下がる。
 ジグラーのサブミッションは軽く形式的で
 コフィも勢いを生み出すベストのタイミングを捉えられてはいません。
 終盤は何度も手合わせしているだけあって重厚です。
 しかしコフィは見せ方が甘いので必殺技であるトラブル・イン・パラダイスは
 最後の最後まで残してこういう攻防を行う方が良いですね。
 平均より少し上。

Aザ・ミズvs.アレックス・ライリー
 ライリーが試合をしている所は初めて見る訳ですがシナに似たスタイルですね。
 拳はそれで観客をのせられるものだし、スピード感もある。
 そこまでコントロールされていませんがやられ姿は絵になりそうです。
 拳を空ぶって見せるのは早く、ダメージ状態を上手く調整できるようになりたいですね。
 そのライリーに対しミズは見下す表情を見せて向かっており
 ストーリーを踏襲した関係性を試合に持ち込む事が出来ています。
 しかし技に段階付けが与えられておらず、
 またライリーが上述のようにダウン・ベースなため中盤はフラットです。
 先のアイ・クイット・マッチのように俳優的になってしまっています。
 ライリーは新人という立場を考えてもそれを打開する提案を全然せず、
 結局試合は最後のケース攻撃vs.DDTの攻防1点のみによって締めくくられそれまでの過程は意味を失う。
 悪くない試合。

Bアルベルト・デル・リオvs.ビッグ・ショー
 ヘンリー乱入からショーの負傷ネタに繋げ
 レフェリー・ストップで短くまとめるので余り評価できません。
 しかし狙いが試合の中で純度高く実現はしている。
 ショーの奇襲を待っている事が分かっても入場時のデル・リオは実に胡散臭いし、
 ショーが場外でリベンジをするシーンは短くとも迫力がありました。
 リングでの攻防は意味が付与されていて
 ショーの脚の痛みのセルも中々の役者でありました。
 ストーリーのための試合として割り切れば楽しめる。
 少し悪い試合です。

CIC王座戦:ウェイド・バレット(ch)vs.エゼキエル・ジャクソン
 バレットは姿勢が良いですね。
 格好がついているという事は素人が考える以上に凄い事です。
 自分の体を内外両方から捉えて一致させコントロールしなければ実現しない。
 打撃などによる制圧的なものではなく
 カウンターなどで柔軟に支配するのでエゼキエルの顔も立つ内容になっています。
 エゼキエルですが野性味は出ているもののやっぱり粗いですね。
 またバレットぐらいの体格の相手ではボディ・スラムを決めれるかを見せ場にするのは無理があるし、
 ボディ・スラム4連発は野性味に反する上に
 ハルク・アップ的意味合いを持つそれが現代でうけるかは大いに疑問を抱く所です。
 少し悪い試合。

DCMパンクvs.レイ・ミステリオ
 序盤はすぐ切るしぎこちないがフェイントの要素もあるので受け入れられる。
 分かりやすい導入からの中盤は
 パンクによって試合としてのリズムと戦いとしての一貫性が両立されている。
 終盤含めて要所では非常に高度な攻防があり見応えがありました。
 只パンクが誘いかけて実現するその要所の攻防以外ではテンション低め。
 何故この試合がPPVで実現するのか
 その経緯がはっきり形作られていないからそうなるのも仕方ない所ですね。
 まあその影響を感じたのはミステリオの方で
 離脱問題に揺れるパンクはしっかり仕事をしていた事実を好意的に受け止めたい所です。
 平均的な良試合。

E世界ヘビー級王座戦:ランディ・オートン(ch)vs.クリスチャン
 クリスチャンはヒール・ターンに当たりヘタレ・キャラを与えられていないのに
 最初に殴り倒され、やたら自爆が多い等自分の価値を落としています。
 ヒールになって打撃重視のスタイルになった事で
 試合構築に全般的に関与できるようになりましたが、
 その試合は思っても見なかった方向に転んでいきます。
 オートンが序盤に気だるさを見せて前振りをすると、
 鉄階段に叩きつけられた中盤から脳震盪の影響を前面に出してきます。
 ヘッド・バッドによる意識のさせ方や、変則的な技使い等
 それは顔芸に留まらない、レスラーだからこその脳震盪を語る素晴らしい表現でしたが、
 それが完全に試合を食ってしまってオートンは脳震盪に打ち勝てるかが焦点になり、
 クリスチャンの存在意義は薄れてしまっている。
 終盤の攻防もRKO、キル・スイッチの切り返し多用により流れ作業的になっており
 その状況を打開するには至りませんでした。
 やってる事は興味深いし、それを実現する事は凄いとも思うが、
 試合自体のクオリティは前の2試合を下回ってしまいました。
 平均的な良試合。

Fエヴァン・ボーンvs.ジャック・スワガー
 スワガーはアマレス仕込みの素晴らしい動きをしていますし、
 ボーンもまたそれに対し単なるハイ・フライヤーではない
 アスリートとして動き対抗しています。
 しかし自分達が凄い事をしてるんだ、って観客に伝えられていません。
 観客を巻き込めなかった結果、途中から自分の殻に閉じこもった試合になっていきました。
 観る方も試合が組まれるなんて思ってみなかったし、
 トイレ休憩の位置づけでディーバの試合の代わりに過ぎないけれど
 そこを自分達の力でこじ開けて欲しかったですね。
 平均レベル。

GWWE王座戦:ジョン・シナ(ch)vs.Rトゥルース
 メイン故に様式を意識。
 トゥルースの場外での間置きとシナのパワフルな空振りは良さげ。
 小さい攻防も出来ていて序盤には良試合の可能性がありました。
 しかし観客が試合とは別にLet's go Cena! Cena Sucks!のチャントを行っている状況。
 観客の焦点を訂正する必要がありましたが、
 トゥルースはヒールなのに観客を煽れず。
 退屈な中盤で、シナのぐったりした演技によってのみ進行している事が分かります。
 終盤は用意した攻防とネタで盛り上げました。
 ハウス・ショーとしては良い帰結でしたね。
 えっ?ハウス・ショーじゃない?
 PPVですって?そんな馬鹿な。
 悪くない試合。

総評
 一応良い試合もあるけどストーリーの力の入れ具合とクオリティがちぐはぐなので
 どうも微妙な印象をぬぐえない大会となっていますね。
DVD Rating:☆☆☆☆☆
 (執筆日:6/20/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@US王座戦:コフィ・キングストン(ch)vs.ドルフ・ジグラー(新チャンピオン!)
Aザ・ミズvs.アレックス・ライリー
Bアルベルト・デル・リオvs.ビッグ・ショー
CIC王座戦:ウェイド・バレット(ch)vs.エゼキエル・ジャクソン(新チャンピオン!)
DCMパンクvs.レイ・ミステリオ
E世界ヘビー級王座戦:ランディ・オートン(ch)vs.クリスチャン
Fエヴァン・ボーンvs.ジャック・スワガー
GWWE王座戦:ジョン・シナ(ch)vs.Rトゥルース