TOPアメリカン・プロレスDragon Gate USA →Dragon Gate USA:Mercury Rising 4/2/11

Dragon Gate USA:Mercury Rising 4/2/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

1枚、約2時間50分です。

@エリック・キャノンvs.ジョン・モクスリー
 前回ブレークアウト・チャレンジに優勝したエリックだが
 モクスリーの女子マネ含めた賑やかしの前に霞む事霞む事。
 最後も無駄に椅子が加わった攻防で、
 モクスリーの女子マネの介入からのフィニッシュ。
 ほんとあのチャレンジは何の意味があったのか。
 悪い試合。

A4コーナー・エリミネーション・マッチ:ジミー・ジェイコブスvs.ブロディー・リーvs.ARフォックスvs.
ジョン・デイビスvs.サイラス・ヤングvs.ストーカー市川
 歓迎を受けた市川は最初にネタをやった後すぐに脱落。
 コメディーとの兼ね合いを心配する必要のなくなった5人が
 スピードだけに頼らず着実に試合を進めていきます。
 ブロディーが残っていく形ながら
 ジェイコブス、サイラスが上手く接し充実感のある試合に仕上げました。
 まあまあ良い試合。

B吉野正人vs.サミ・カリハン
 機動力で鳴らしたカリハンはDGでもいけますね。
 吉野は安心して受け手に回り、的を得たタイミングで反撃しています。
 両者見栄えの良いコーナー上からの飛び技を多用しながら終盤へ。
 意思疎通が必要な攻防は小さな打撃に頼ったり、相手の反応を待つ所がありますね。
 またしっかり認知された持ち技がある吉野に比べると
 カリハンはまだまだベース・スタイルをハードにこなす以上のレベルに達しておらず、
 終盤はやや尻すぼみしてしまいました。
 まあまあ良い試合。

Cオープン・ザ・ブレイブ・ゲート王座戦:Pac(ch)vs.戸澤陽
 序盤はドロップ・キックで落としてもダイブにいかずアピールにとどめたりと
 まずはじっくり土台を作ろうという構えです。
 レスリングに関しては余り工夫を凝らせるほどの才を双方持ちませんから
 抑え目にする中でコクを出す事は出来ていない。
 また戸澤はリングに入り際を攻撃するなど戦略的に動いていますが、
 前2大会で見せた感情の落としは見られません。
 ここは抗争という一般様式に陥ってしまった形で、
 攻防も相手の持ち技が決まらず、打撃の比率が多く
 一進一退なんだけどそれ故に印象に残りにくい内容になっています。
 そんなスロー・スタートな試合でしたが後半は右肩上がり。
 Pac方法論にのっとった試合運びと、
 戸澤の常識外れの爆発力が交わっていくと、
 打撃、投げ、ハイ・フライがバランス良く織り交じった攻防に。
 Pacが王者のプライドを持って振舞えていたのも驚きでした。
 Pacはタッグ王座奪取時のフィニッシャーにジャーマンを選んでいましたが、
 それはこのときのためだったんじゃないかというぐらい
 ドラマチックな気持ちののった攻防に発展しています。
 じっくりした構築の中で魅力は十分に発揮できなかったものの安定感ある前半に仕上げ、
 終盤ではUSインディーをトップ・リードする戸澤の素晴らしいニア・フォール合戦を堪能できます。
 好勝負に少し届かず。
 
 試合後2人はお互いを認めハグ。
 BWが吉野らを襲撃。

Dシン・シティ・セインツvs.ダニー・スティール、チャレード
 ゴングが成るなりカリハンが乱入。セインツを叩きのめしアピールです。
 続いてエリック・キャノンが現れる。同じようにダニー、チャレードを叩きのめして見せ、火花を散らしました。

Eオープン・ザ・フリーダム・ゲート王座戦:YAMATO(ch)vs.オースチン・エリーズ
 (エリーズは敗北すればDGから撤退する)
 YAMATOはエリーズばりのゆとりを持ってキャラを演じる事が出来ていますね。
 だからこそその油断を突いていきなりブレーン・バスター、450が炸裂する展開も一応ありではある。
 ただやっぱりその後試合を落ち着かせるのは至難の業です。
 エリーズの脚攻め、YAMATOの脚攻めと展開していますが、
 その展開には繋がりがあるようで普通に必殺技のダメージ、脚の痛みが次の展開になると忘れ去られています。
 それでも通用する程両者の脚攻めを絡めた試合運び自体は
 完全にコントロールしきれていて抜群に上手いですけどね。
 YAMATOのリング下を移動しての奇襲を読みきったエリーズがトペに持って行き終盤へ。
 ここで脚攻めサブミッションを絡ませていることや、
 既にブレーン・バスターが決まっている中で
 頭部蹴りあげ、ブレーン・バスターというエリーズ/YAMATO共通のシークエンスを
 攻防の目玉として持ってきているのはちょっと強引だなぁ、と思わずにはいられないのですが、
 ここでもその攻防をどう仕立て上げるかや
 どのタイミングで織り交ぜるかのバランス感覚が絶妙でしたね。
 問題のある構成ながらそれを上手さで押し切ってしまった逸品。
 好勝負に少し届かず。

Fロニン(チャック・テイラー、ジョニー・ガルガーノ、リッチ・スワン)vs.ブロッド・ウォーリアーズ(CIMA、土井成樹、リコシェ)
 BWが奇襲を仕掛けペースを掴みますが、
 相手のカウンターを食らっても、素早くカウンターを打ち返し、
 またルチャ・ルールの中で違和感なく入れ替わっていくので疾走感がありますね。
 中盤はロニンが支配し、テンポを維持しながらアピールを挟みます。
 いつぞやにBWが見せたウー、というアピールで持って絶妙にのせていく試合運びにも達していないし、
 かといって連携技を圧倒的な量こなす訳でもない、
 また攻めなのでロニン特有のタイミングばっちしのスポットが繰り出される訳でもありません。
 そのために高いクオリティながらメインとしてはどうか、という思いが出てきましたね。
 そんな中でこの試合特有の見せ場として提示されたのでロニンに大抜擢されたスワン。
 BWがスワンを捕まえると椅子へのクラブ・ストンプを何度も叩き込み手荒く扱います。
 このスワンが孤立から脱出しようとする試行錯誤は
 完全に自分の形に持っていこうとする攻防として認知されていて
 スワンが真の意味でDG USAのロスターとなった事を実感させます。
 テイラー、ガルガーノがスワンの粘りを評価し、後はまかせろ、と言うように
 ロニンはテイラー/ガルガーノを2トップとして終盤の攻防に臨みました。
 スワンの位置づけも活きていてCIMAとの攻防は見応えあり。
 スワン対CIMAのシングル対決はガルガーノ対CIMAに引けを取らないものに出来るのではないかと想像させるに十分でした。
 土井、リコシェのアピールが足りず羅列状態に陥った上、
 リコシェがダイブ・ミスをしてしまったので最後にケチがついてしまったのは勿体無い。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

 試合後World-1(吉野、Pac)が現れお前らには俺達の王座を奪う事は出来ないとアピール。

 ハイライト、カリハンのビデオを特典として収録。

総評
 一日にしてブレークアウト・チャレンジなんて意味がない事を露呈した@はさておき
 他はアンダーカードが着実な試合をして、トリプル・メインが全て成功している。
 三種三様ですしバランスが良い大会ですね。
DVD Rating:★★★☆☆
(執筆日:9/1/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@エリック・キャノンvs.ジョン・モクスリー
A4コーナー・エリミネーション・マッチ:ジミー・ジェイコブスvs.ブロディー・リーvs.ARフォックスvs.ジョン・デイビスvs.サイラス・ヤングvs.ストーカー市川
B吉野正人vs.サミ・カリハン
Cオープン・ザ・ブレイブ・ゲート王座戦:Pac(ch)vs.戸澤陽
Dシン・シティ・セインツvs.ダニー・スティール、チャレード(ノー・コンテスト)
Eオープン・ザ・フリーダム・ゲート王座戦:YAMATO(ch)vs.オースチン・エリーズ
Fロニン(チャック・テイラー、ジョニー・ガルガーノ、リッチ・スワン)vs.ブロッド・ウォーリアーズ(CIMA、土井成樹、リコシェ)