TOPアメリカン・プロレスどインディー →50-60年代のプロレス:流智美の黄金期プロレス50選 Vol.5 人間台風ジョナサン&MSG無冠の帝王ロッカ

50-60年代のプロレス:流智美の黄金期プロレス50選 Vol.5 人間台風ジョナサン&MSG無冠の帝王ロッカの分析


名勝負 なし
好勝負 なし

約3時間40分。
アントニオ・ロッカ
 1,2試合目はロッカ。
 実力そこそこ、強いショーマンシップで
 人気を獲得したMSG無冠の帝王です。
 1試合目の相手はシュミットですが
 ロッカではレスリングもできませんし
 両者の得意技だけが見所かな。

ドン・レオ・ジョナサン
 2,3試合目はジョナサン。
 でかくて動けて技術ありということで
 顔が良いレスナーをイメージしてもらえれば(笑)
 ただバリー・ウィンダム並に欲がないのが欠点でして・・・
 2試合目はロッカ、ジョナサンも持ち味を出して
 タッグ的楽しみは薄いものの、中々の試合。
 3試合目の相手は抗争していたマクラリティ。
 マクラリティの格が落ちてそこまで良い試合ではありません。
 これで早くもジョナサン、ロッカは出なくなります。

ボビー・ブランズ
 4、5試合目は力道山のデビュー相手、プロレスの手ほどきをした
 つまり日本プロレスの誕生において重要な役割を果たした
 (といっても日本マットを仕切ろうという下心もあったのですが・・・)
 ボビー・ブランズを特集。
 交通事故から復帰してまもなく動きがやや鈍く相手も2流。
 5試合目も同じく試合としては悪いものですが
 (ガニアも髪がふさふさでデビューしたて)
 注目すべきはシカゴ地区における輸入した手のタッグということで
 ルールがエリミネーション・マッチ同然という
 何とも間の抜けたものだったという資料的な価値のある試合です。
 相手はタッグ屋でウィリアムズは珍しく体中に刺青があります。

ハンス・ハーマン
 6,7試合目はジャーマン・オークことハンス・ハーマンを特集。
 2メートルを越す長身でパワー・ファイター。
 プロレス界一のインテリということで試合運びもそこまで悪くありません。
 しかしもう50歳越しているのでやや迫力不足。
 実は7試合目のリッキー・スターが要注目レスラーでした。
 アマレス抜群でストロング・スタイルもできる上
 そこに趣味のバレエ・ムーブを交える等
 オカマ的コミカル・ムーブを上手く組み込んでいます。
 この後イギリスに移ってしまわなければ
 カーペンティアに並ぶ大レスラーとして名を残したはずなので惜しまれます。
 この試合しか残っていないので非常に貴重です。

ゴージャス・ジョージ
 8,9試合目はエンターティメントをプロレスに組み込み
 ブームを巻き起こしたゴージャス・ジョージ。
 入場曲を初めて使ったのもこの人です。
 ショーマンですが純粋なレスリングの下地もしっかりしています。
 フランス貴族ギミックのフレアーみたいなものか。

 8試合目は元祖ダブル・クロス。
 モントリオールの悲劇を語る際引き合いに出される試合です。
 (といってもモントリオールの悲劇はやむなく生まれたいう感がありますが
 こちらはより大きくなりたいという欲望ゆえのよりドロドロしている感じを受けました。)
 イーグルはAWA(ガニア設立のAWAとは別物)王者でして
 この試合の勝者はNWA王者テーズに挑戦できることになっています。
 AWAのプロモーターにはNWAを乗っ取ろうという野望がありますので
 是非ともこの試合に勝ちたいところ。
 一方のNWAも全米制覇のためにAWAをつぶしたいので
 同じくこの試合に勝ちたいところ。
 さて試合のほうはオリジナル・テープの劣化によりカットあり。
 1本目はイーグルが元祖インディアン・デス・ロックで先取。
 (オリジナルは脚ではなく腕を使っての倒立というだったということに注目)
 2本目はイーグルに観客が殴りかかり(当然NWAの息がかかった仕込みです)
 それにイーグルが怒って殴り返しているうちにリング・アウト。
 3本目はジョージがロープ悪用のカバーすると
 カウント2でイーグルが肩をあげたのに
 買収されていたレフェリーはカウント3をいれてしまうというもの。
 これでAWA王座がジョージに移りますから
 後はテーズに負けることでAWA王座は吸収され
 AWA崩壊へとつながるという訳です。
 歴史的な一戦です。

H3本勝負:ゴージャス・ジョージvs.サイクロン・アナヤ(1/?/50-3/?/50)
 ジョージがサブミッションを決めながら煽り立てます。
 空気のつかみ方は上手いものの点で添えているだけなのでワン・パターンです。
 アナヤが拳で徐々に盛り上げるも
 ジョージがフライング・メイヤーから押さえ込むという弱いフィニッシュで幕。
 ベビーフェイス/ヒールの典型的な型の中で少々相手に任せて楽した感がある。
 平均より少し上。
 (執筆日:3/4/12)

総評。
 表題の2人以外にもオムニバス形式の
 特集だったので残り物の寄せ集めかと思いきや
 リッキー・スターやゴージャス・ジョージ、サイクロン・アナヤ
 が出ていたりしますし
 貴重なダブル・クロスがあったりと充実しています。
 良い試合は少ないですが他と同じく素晴らしい内容です。
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

H3本勝負:ゴージャス・ジョージvs.サイクロン・アナヤ(?/?/50)
  髪を乱されたジョージはレフェリーに八つ当たり。
  レフェリーの目を盗んでパンチ。
  アナヤが見事な動きで腕を取る。
  ジョージは腕を取るとレフェリーの目を盗んで威力を強める。
  アナヤはジョー・ブリーカーに返そうとすると見せかけ脚を取る。
  ジョージは脚を取るとロープを悪用する。
  アナヤが腕を取る。
  ジョージが腕を取り返すもアナヤはすかさずカバーの体勢に返す。
  ジョージは体を入れ替えるとレフェリーの目を盗んでチョーク。
  ジョージがヘッド・ロックから殴りつけると
  アナヤも同じことをやって反撃。
  ジョージはレッグ・ロックに捕らえロープを掴むもレフェリーに見つかる。
  アナヤが猛攻を仕掛けモンキー・フリップ。
  カバーするもカウント2。
  ジョージが隙をつき飛びつき式フライング・メイヤー連発からカバーで1,2,3!
  アナヤは腕を攻めていく。
  ジョージは痛がる振りから隙を突いてハーフ・ボストン・クラブ。
  ジョージは卑怯な戦法で撹乱していく。
  アナヤはコーナーを使ったドロップ・キックを決めるとネック・ツイスト連発。
  ジョージが飛びつきフライング・メイヤー連発へ!
  アナヤがコブラ・ツイストに切り返しギブ・アップさせる!
  これで1対1に!
  アナヤは平手打ちで挑発。
  アナヤが押さえ込みから逃れた際コブラ・ツイストを狙う!
  ジョージはロープを掴んで防ぐ。
  髪を掴んでアナヤを場外に落とす。
  ジョージがアナヤを上がらせようとしない。
  エプロンのアナヤはフライング・メイヤーを決めジョージも落とす。
  しかし反動で自身も落下。
  お互い相手をリングに戻らせまいとしている間にリング・アウト!
  引き分けとなる!

試合結果

@3本勝負(レフェリー:ジョー・ルイス):アントニオ・ロッカvs.ハンス・シュミット(4/9/54)(2 -1)
A3本勝負:アントニオ・ロッカ、ロイ・マクラリティvs.ドン・レオ・ジョナサン、ハンス・シューナブル(6/10/55)(2-1)
Bドン・レオ・ジョナサンvs.ロイ・マクラリティ(1/21/55)(タイム・リミット・ドロー)
Cボビー・ブランズvs.ベニト・ガーティニ(?/?/50)
D3本勝負:ボビー・ブランズ、バーン・ガニアvs.ルディ・ケイ、アル・ウィリアムズ(?/?/50)(2-1)
Eハンス・ハーマンvs.ユーコン・エリック(?)
F3本勝負:ハンス・ハーマンvs.リッキー・スター(?)(2-0)
GAWA王座戦、3本勝負:ドン・イーグル(ch)vs.ゴージャス・ジョージ(新チャンピオン!)(4/28/50)(カット有り)(2-1)
H3本勝負:ゴージャス・ジョージvs.サイクロン・アナヤ(?/?/50)(1-1)(リングアウト・ドロー)