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新日本プロレス:ワールド・プロレスリング 2009年 part Twoの分析


名勝負 なし
好勝負 IWGP 王座戦:中邑真輔(ch)vs.棚橋弘至(11/8/09)

@Jr.タッグ王座戦:アポロ55(田口隆祐、プリンス・デヴィット)(ch)vs.モーター・シティ・マシンガンズ(クリス・セイビン、アレックス・シェリー)(7/5/07)
 当時は外国人に門戸が開かれているとはいっても
 ブッカーも観客もまだまだ受け入れ体制不十分。
 
 MCMGの華麗な動きに湧くものの
 あくまで主語はアポロ55でしかないですね。

 その為MCMGはヒール要素を入れてきます。
 当然一定の質を保っていますが、本領ではないので、
 もっとノって行きたいところだろうに、と思うシーンもチラホラ。
 やるならデビットの孤立シーンはもっと盛り上げないといけなかった。

 ホット・タッグ後も多彩なアクションで見栄えして確かに盛り上がってるが
 スポット自体のインパクトに対し0.7くらいの効果しか与えていません。
 控えがもっと機能的に動けば
 そのスポットが戦略的にもっと意味を持ってくる。

 本物になりきれていない勿体ない内容。

 中々良い試合。
 (執筆日:5/?/20)

AIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.杉浦貴(7/20/09)
 杉浦のスタイルのせいで
 リズムという物はなく、凸凹の金属面を
 力押しで組み合わせていくようなギシガシした流れですね。
 対抗戦ですし、杉浦は微妙な間が挑発的に見える程充実しているのでこれ自体は問題ではないですね。
 試合のストーリーもついていました。
 問題は棚橋ですね。
 カート戦と同じく脚攻めが控えめです。
 それだけで”新日の中で最も安心して見られるはずの男”はもうそこにいません。
 試合の筋にしがみつけず、あっぷあっぷの状態。
 杉浦の強さを悪い意味で壊すと
 空を切る大技の連発で試合を閉じる紐はするりと抜け落ちました。
 ここら辺がアンチ棚橋もいる理由になっているのでしょうね。
 まあまあ良い試合。
 (執筆日:1/4/09)

BJr.タッグ王座戦:アポロ55(田口隆祐、プリンス・デヴィット)(ch)vs.モーター・シティ・マシンガンズ(クリス・セイビン、アレックス・シェリー)(9/13/07)
 前回はオープニングでしたが、
 一定の評価を得たのか今度はメインで。

 まずデヴィットが控えのセイビンにトペコン。
 シェリーを捕まえ連携技、と
 アポロ55も連携技量で勝負しに来ていますね。

 これならMCMGがヒール・タッチする必要もないように思いますが、
 相変わらず要素を残していて
 その分切り返し数もあっさり目。

 後半ギアを上げるとより連携技を重要な位置付けで見せれていて、
 前回の課題を克服し最後の頂点まで綺麗に組み上げていました。

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:5/?/20)

CIWGP王座戦:中邑真輔vs.真壁刀義(9/27/09)
 前の試合はネガティブな中で形をつけた格好ですが
 今回はその現実を直視し割り切って、
 ポジティブにその要素を魅力に持ってきました。
 真壁の練習の賜物のレスリングから始まると
 ラフから鉄柱にラリアットを誤爆しバトン・タッチ、
 中邑は腕狙いを要所のみに抑え、
 ヒールとしてニーで真壁を追い込む事に専念します。
 真壁の爆発力、ドラスクの使用というサプライズから終盤へ。
 ラリアットの多用により平面的すぎるきらいはあるものの
 終盤も確かで良い攻防でした。
 平均的な良試合。
 (執筆日:1/4/09)

DIWGP 王座戦:中邑真輔(ch)vs.棚橋弘至(11/8/09)
 (カットあり。23分の内16分)
 中邑は幸せ者だなぁ。
 大谷、棚橋、永田と3人連続で良い相手に恵まれているんだから。
 いやもう、中邑自身よりも彼らの方が中邑の事を分かっているのでは、と思うぐらいです。

 この3人の試合において中邑に違いはありません。
 むしろこの試合だけ中邑のマイナス要素が見えましたがそれは後述。
 俺は俺だ、ついてきたい奴だけがついてこい、という孤高の立場を貫いています。
 しかしそれは自己満足に陥っていないか。
 明らかに対抗戦、王座戴冠を経た事で
 彼の目も当てられない部分は見事に消えているのだが
 それで完成した、というには早すぎるのです。
 なぜなら世界を2人で作らなければならない、という法はないけれど
 王者としてはやっぱり自ら用意したい物ですからね。

 かくしてこの試合では棚橋がお膳立てした訳だけど
 棚橋が他の2人と違ったのは
 大谷と永田が中邑の領域で世界を作ったのに対し、
 棚橋は自分の領域に世界を作り、その中に別に中邑の世界があっても良いよ、と許しを与えた事です。
 メイン・イベンターとして09年をリードし続けた
 棚橋だからこそなせる包容力でしょうね。

 ただこれだと見たとおり棚橋>中邑です。
 新日ファンの好物、イデオロギー闘争に昇華させるためには
 中邑の世界の存在する原動力に対してはったりをかまし信じさせないといけない。

 そのために棚橋は新たな棚橋を見せてきました。
 適度なアピールを挟みながら、いつもの脚攻めを見せますが
 今回の本質はカウンターにありました。
 驚くべき程上質で、豊富なカウンターは
 (そのせいでどうしても同じ技を何度も使っている印象は生まれるが)
 脚攻めと同じく棚橋が試合の中心近くから
 コントロールする事を可能にしますが、
 脚攻めと違うのがそれが受けの動作だという事です。
 それによって棚橋が受け→中邑が攻め、
 中邑が攻め⇒能動的(正確には≠ですが)に見えます。
 それは中邑がやりたい事が一番出来たように見えるし、
 また退屈と表裏一体のMMAにおいて、
 能動性が煌く時ほぼ確実に観客は沸いてくれます。

 かくして観客は楽しみながら、心地よく
 イデオロギー闘争の絵を見る事ができました。
 勿論、年齢、風貌も後押しした事はいうまでもないでしょう。
 
 些末ながら中邑の改善点を挙げると、
 他の世界と衝突した時、ヒールというアスペクトがなくなった時彼の蹴りは揺らぎます。
 Noah的な盛り上げるための打ち合いにも逃げれない
 その蹴りは存在価値がなく頼りなげに見えます。

 ボマイエの危険性についても少々。
 必殺技として常時使っていくには危険に見えます。
 時代が違うとはいえ、猪木を比較対照にあげるなら
 彼の延髄切りは空振る事も度々ありました。
 この当たり具合が弱くなっても
 納得させられるようになるかが、今後の成長を見守る上で一つの焦点になるかもしれませんね。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:1/5/09)

EIWGP王座戦:中邑真輔(ch)vs.永田裕志(12/5/09)
 (カットあり。19分中14分)
 永田は中邑仕様に合わせてきましたね。
 受けのダメージを見せなくて良い所は見せませんし、攻防は知的、
 ハードな打撃でごつごつとした部分を前面に押し出しています。
 中邑もそれに応えて、重い攻撃の壊しあい、消耗戦へと突入していきました。 
 飛びつき腕十字が唐突という度々ある欠点の他、 
 グー・パンチが早めに出ていて、ボマイエも何発も打っている、という
 一撃必殺のスタイルから離れている問題点も見られます。
 しかしこういう内容ならそれを許容する雰囲気がありますし、
 試合運び、構築で問題は目立たなかったのは評価すべきだと思います。
 中々良い試合でした。
 (執筆日:12/28/09)

注目試合の詳細

BIWGP王座戦:中邑真輔(ch)vs.棚橋 弘至(11/8/09)
  (カット)
  中邑が牽制で蹴り。
  すぐに詰め張り手の打ち合いに。
  中邑は一部避けガードしている。
  棚橋がタックルを狙う。
  耐えられるも押し込みエプロンにもつれ落ちる。
  すぐにリングに戻る。
  ナックル・ロックにいくかと見せかけ中邑が押し蹴りを放つ。
  棚橋は受け止め低空ドロップ・キック。
  脚を踏みつけていく。
  脚を持つと倒す。
  脚を蹴りつけエルボー・ドロップ。
  脚へエルボー・ドロップ。
  レッグ・ロック。
  中邑がロープに逃れる。
  棚橋は中邑をターン・バックルにぶつける。
  場外に出ると中邑の脚を引いて倒す。
  脚を何度も鉄柱に叩きつける。
  リングに戻り脚を蹴り。
  中邑がエルボー。
  棚橋が低空ドロップ・キック。
  場外に転がり落ちた中邑にブランチャを狙う。
  中邑は避けると胸に蹴りを叩き込み柵にぶつける。
  リングに戻る。
  リングに戻ってきた棚橋にニーを突き上げる。
  ボディ・スラムを狙う。 
  棚橋が後ろに逃れリバースDDTの体勢。
  中邑がロープに脚をかけ回転しようとする。
  その前に棚橋がファイナル・カット。
  ロープに走る。
  カウンターでラリアットを狙おうとした中邑にフライング・エルボー。
  エルボーにパンチを連打。
  アッパーカートを叩き込んでいく。
  アピールしアッパーカート。
  ボディ・スラム。
  セカンド・ロープに乗りセントーン。
  カバーするもカウント2。
  バックに回る。
  中邑がバック・エルボーを叩き込む。
  棚橋が脚にラリアットを叩き込み黙らせる。
  脚を取ろうとする。
  中邑が飛んでニー。
  ニー。
  フェイス・バスター。
  倒れた棚橋の胸にニー。
  カバーするもカウント2。
  ガット・バスター。
  起こすとバックを取る。
  棚橋がバック・エルボー。
  ロープに走りフライング・エルボーへ。
  中邑がかわしスリーパー。
  棚橋が一本背負いで返す。
  起き上がった中邑にスリング・ブレイド。
  両者ダウン。
  棚橋がエルボー連打。
  中邑がニー連打。
  額を突き合わせる。
  棚橋が張り手を狙う。
  中邑はかわすと張り手連打。
  蹴り連打。
  ロー・キックで崩れさせる。
  起こそうとする。
  棚橋が張り手。
  もう1発狙う。
  中邑が飛びついてのアーム・バーへ引きずり込もうとする。
  棚橋はすり抜けるとグラウンドの中邑にドラゴン・スクリュー。
  もう1発。
  テキサス・クローバー・ホールド。
  15分経過。
  中央に戻す。
  中邑が体を反転させる。
  脚を引いて倒しアーム・バーへ。
  棚橋がロック。
  中邑が狙いを変え脇固めを決める。
  棚橋は体を起こすと回転。
  中邑が対応しアーム・バーを狙う。
  棚橋がロックして耐える。
  中邑は脚を当てて引き離す。
  棚橋がたまらずロープに逃れる。
  中邑はぎりぎりまで放さない。
  棚橋に蹴りを叩き込む。
  距離を取るとニー・ストライクへ。
  棚橋はかわすとロープに走る。
  中邑がカウンターでライダー・キック。
  起こしてタイガー・スープレックス。カウント2。
  起こすとリバース・パワー・スラムを狙う。
  棚橋は持ち上げられるも中邑の首を掴んでいでフェイス・バスターに切り替えした様子。
  すぐに起き上がる。
  中邑にドラゴン・スープレックスを狙う。
  切られるもだるま式ジャーマン。カウント2。
  ロープに走りスリング・ブレイド。
  ニーを落とす。
  コーナーにのぼりうつ伏せの中邑にハイ・フライ・フロー。
  コーナーにのぼり2発目へ。
  中邑がかわして自爆させる。
  後頭部へのボマイエ。
  両者ダウン。
  カウント9で両者起き上がる。
  中邑がハイ・キックへ。
  かわされるもそのまま回転してスピン・キック。
  フロント・ネック・ロック。
  20分経過。
  棚橋は長いこと食らうも何とかロープを掴もうとする。
  中邑がスリーパーに変え中央に引っ張る。
  棚橋の体が崩れ落ちる。
  中邑は解くも起こしてリバース・パワー・スラム。
  コーナーで待機。
  体を起こした棚橋にボマイエを狙う。
  棚橋がかわしてスクール・ボーイ。
  中邑がカウント2で返すと同時にアーム・バーを狙う。
  棚橋がすぐに体勢を変え中邑の両肩をつけにいく。
  中邑はカウント2で返すとラリアットへ。
  棚橋は受け止めドラゴン・スープレックス。カウント2。
  ファルコン・アローもカウント2。
  コーナーに上がりハイ・フライ・フローへ。
  中邑がかわしてグー・パンチ。起き上がった棚橋にハイ・キック。
  グー・パンチ。
  ボマイエでカバーし1,2,3!
  中邑の防衛!

試合結果

@Jr.タッグ王座戦:アポロ55(田口隆祐、プリンス・デヴィット)(ch)vs.モーター・シティ・マシンガンズ(クリス・セイビン、アレックス・シェリー)(7/5/07)
AIWGP王座戦:棚橋弘志(ch)vs.杉浦貴(7/20/09)
BJr.タッグ王座戦:アポロ55(田口隆祐、プリンス・デヴィット)(ch)vs.モーター・シティ・マシンガンズ(クリス・セイビン、アレックス・シェリー)(9/13/07)
CIWGP王座戦:中邑真輔(新チャンピオン!)vs.真壁刀義(9/27/09)
DIWGP王座戦:中邑真輔(ch)vs.棚橋弘至(11/8/09)
EIWGP王座戦:中邑真輔(ch)vs.永田裕志(12/5/09)