TOP日本のプロレス →東京スポーツ新聞社:All Together 8/27/11

東京スポーツ新聞社:All Together 8/27/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@飯伏幸太、石森太ニ、BUSHI、大和ヒロシvs.タイガー・マスク、カズ・ハヤシ、近藤修司、リッキー・マルビン
 人数が多いので技を数打つ方向にいくのは分かるけれど
 いきなりマルビンが技を見せますよ、というスタンスで入ってきたのにはげんなり。
 そのくせ動きが結構淀んでいます。
 大和は気持ちの乗せ方がいまいち。
 タイガーは唯一の新日勢ながらハードな蹴りだけで空気。
 カズはベテランらしく控えで動いたりとタッグの格好をつけようとしたが
 なにぶん1/8な上不十分な仕掛けです。
 キレのある飯伏と無骨な近藤という組み合わせは確かに面白そうですが、
 その可能性を感じさせるには触りの部分でしかない攻防でした。
 そんな中途半端な寄せ集めの中石森が技のインパクトでは一番でしたね。
 突出していたという程の仕事ぶりではないが、この石森が締めるのは自然な流れ。
 実際は実家が被災したというバックグラウンドがあったそうですが
 リング外の思惑とリング内の仕事が合致して悪い気はしないですからね。
 悪くない試合。

A内藤哲也、真田聖也、征矢学vs.モハメド・ヨネ、谷口周平、高橋裕次郎
 前の試合に続いて普段戦わないという事が予想以上に悪影響を及ぼしているが
 こちらはヘビー級という事で一発ずつ間を置きやすいので比較的取り繕いやすいですね。
 コンセプトは次世代の闘い。
 その点では格別の荒々しさを見せた征矢がMVPです。
 内藤は見事なムーブを見せていましたが、痛がり方が若干滑り気味です。
 谷口は征矢のおこぼれをもらって真っ向からの激突で盛り上げました。
 真田と高橋は実力を出し切れていない印象はあったが、
 攻防の息が合わず足を引っ張る結果となってしまっている。
 次世代というコンセプトから一人外れたベテラン、ヨネですが
 ヒール調で試合をかきまぜタッグの装いを作っていたのは好印象。
 果たしてAll Togetherの舞台に合っているという問題はありますが
 試合のクオリティという面から言えばある意味彼がこの試合をまとめた、といっても良い。
 悪くない試合。

B後藤洋央紀、太陽ケアvs.真壁刀義、斉藤彰俊
 いきなりエルボーを打ち合ってテンション高くスタート。
 後藤がそのまま飛ばした試合運びをしたのは自分の性質を良く分かっている。
 その中で試合をしっかり落ち着かせたのは真壁。
 良く観客を見ながら基本技で構築しています。
 その真壁に対し、ケアが気の利いた補佐役を務め盛り上げている。
 自己主張こそ弱いですが彼の仕事ぶりには隙がありません。
 残る1人、斉藤ですが、まだそんなファイトしているのかと言いたくなるような
 頭から落とす投げに軽々しく手を出す試合振り。
 それは過激技を律する方向性でも、やるべき時には危険な技も行うという覚悟でもなく、
 まったく進歩が見られない。
 斉藤がケチをつけたものの、1,2試合目の内容で不安になっていた所で
 しっかりと1つの試合の中で個々が輝いたのは大きい。
 まあまあ良い試合。

Cプリンス・デヴィット、田口隆祐、鈴木鼓太郎、中嶋勝彦、KAIvs.平柳玄藩、KENTA、金丸義信、稔、金本浩二
 序盤で10人がリングで対面したのは凄い絵面でしたね。
 こちらもトップ・クラスが集まっていますが、
 どうやら団体の垣根というのは想像以上に大きく立ちはだかっています。
 明らかに現状から広げられる可能性が小さい。
 しかしそんな中で何が出来るかを考えた点がこの試合は素晴らしい。
 トリオ以上の試合で重要なのはテンポです。
 その上で価値ある持ち技をつぎ込むのがベストながらそれは今回出来ない。
 ならばと単純な打撃の打ち合いで代替しようと。
 気の吐き方と細やかな変化でそれを実現している。
 終盤は一人紛れ込んだネタ・キャラの平柳(終盤で初リング・イン)や
 華やかなスポットで盛り上げきりました。
 前の試合が陽から生み出されたものならば
 この試合は陰から相応の試合を生み出している。
 中々良い試合。

D鈴木みのる、タイチ、青木篤志vs.獣神サンダー・ライガー、佐野巧真、船木誠勝
 ハード・ヒッティング・マッチの直後なので
 タイチの良質なヘタレっぷりは観客の空気に効果的に働きかけている。
 みのるは相変わらずリーダーとして様になるし、
 雰囲気美人の試合になるかと思われましたが空振り。
 やたら応援を受けていた青木は印象に残るシーンなし。
 かつて接点のあったライガーが只ハーフ・マスクで登場しただけで
 試合振りが悪くその割を食った所もありますけどね。
 佐野は毎度のソバット、ダブル・ストンプで特別感皆無。
 船木は・・・少し前に散々やった対みのるを
 One Night Reunionでやられても新鮮味がないよねぇ。
 悪くない試合。

Eデストロイヤー杯バトル・ロイヤル
 ピンフォール・ルールもあり。
 大勢で押さえ込むシーン多数でフォールを狙えば百発百中で決まる。
 特殊形式を軽視している日本ならではの緩さです。
 井上、渕などが残っていくので最後までファン・マッチ風味。
 3人から一気に決着に向かうのでラストのシングル対決も実質的にありません。
 ここまで大人数のバトル・ロイヤルというのは
 日本では滅多に見られない光景という事で一見の価値があるし、
 大会真ん中で息抜きする必要もあるでしょう。
 しかし試合自体は悪い試合。

F曙、浜亮太、森嶋猛、吉江豊vs.永田裕志、天山広吉、西村修、井上渉
 カードとしてはネタながら
 面白い絡みも実現できるカードだったと思います。
 特に生意気キャラが冴える浜が永田を挑発した時は少し期待するものがありました。
 しかし浜X永田が実現する事はなく、
 ふり幅が広いという事で抜擢されたのであろう森嶋と
 フリーでしがらみのない西村が
 必要以上にリングにでずっぱりでした。
 そして天山と井上は存在感皆無だったねぇ。
 少し悪い試合。

G佐々木健介、秋山準vs.高山善廣、大森隆男
 高山序盤はよたよたしながらも健介と真っ向からぶつかり合えていたのに
 後半になると見るからに負担に負け、満足行く動きが出来なくなっています。 
 健介の攻めを耐えてカウンターを打つシーンなんか白々しかったですね。
 しかしそれは高山のコンディションのせいとはいえ
 一方では健介が馬鹿みたいに身体をぶつけていくせいでもあり、
 その点ではそんな状態でも見応えのある攻防とは言えますね。
 大森は気骨ある表情が良かったですね。
 だから何をするって訳でもないんですが、
 行動に関してはその分秋山が優れた試合運びで穴埋めしています。
 これまでの選手に比べると随分欲のない、柔軟な構築でしたね。
 もし秋山がフォールを取られても驚かなかったでしょう。
 復活したノー・フィアーは張りぼて気味でしたが、
 対する佐々木、秋山がそれぞれの意味で充実感を見せ、
 この大会終盤への一歩を築きました。
 まあまあ良い試合。

H小橋建太、武藤敬司vs.矢野通、飯塚高史
 小橋は晩年のアンドレを見ているかのような状態でしたが
 そういう弱さを纏いつつも真っ直ぐさを失わないチョップ・スタイルは意味がある。
 同じくコンディションの悪い武藤ですが、
 控えとしての抗議の仕方が上手く、予期せぬ形で貢献しています。
 矢野、飯塚は満足いく動きの出来ないレジェンドの迎え方として
 単純なヒール・ワークの枠に収まる形を取っています。
 こんなカードでも一応試合時間はある程度稼がなければならないので
 ヒール・ワークを只数打つ形になり
 矢野、飯塚が能力を発揮できていませんが、
 能力を使った所で能力で返ってくる相手でもありませんから問題なし。
 表面的な内容ながら連続ムーンサルトのフィニッシュといい、その象徴性の高さは歴史の重み。
 平均レベル。

I棚橋弘志、諏訪魔、潮崎豪vs.中邑真輔、杉浦貴、KENSO
 トップともなると流石ですね。
 手を重ねていない事から間が空いても
 そこに呼吸を持った仕掛けを持っていける。
 中でも中邑の脱力と緊張感のメリハリは屈指の効果を上げている。
 中盤以降は数え歌として一番高値安定している中邑X潮崎がリード。
 杉浦、諏訪魔も具体的なシーンには欠けるものの
 確立された自己価値で持って激しくぶつかっている。
 棚橋はKENSOと同期対決という位置づけ。
 あのKENSOですから厄介な役割です。
 1/6で構築に深く関わる事も出来ないし、
 得意の脚攻めはそれこそトリオでは武藤と被ってしまいます。
 結局空気が読めないKENSOが棚橋を放って自己完結してしまっているので
 棚橋は満足いく自己アピールは出来ませんでした。
 しかしそれでも試合中に5人全員の事をちゃんと見ていたのは立派です。
 それが何に繋がったという訳でもないけど立派です。
 最後はKENSOが八つ当たりして他5人全員の必殺技を食らう形でフィニッシュ。
 事前に聞いたときにはネタに、トップ・レスラーを敗北させられないための物に見えましたが、
 いやいやこれはトリオとして素晴らしいまとめ方だと思います。
 試合の中でKENSOが完全に他者との関わり合いをもてない事実を示し(正確には露呈し)、
 棚橋除く4人はKENSOが入ると異次元になってしまうが、
 俺達は関係ない、しっかりと戦いを見せよう、というスタンスを示した。
 だからこそあのKENSOのスポットライトを奪うな、という八つ当たりは
 見事なキャラクター・テリングでありストーリー・テリングです。
 5人の必殺技の間に1回帯を使ってのスリーパーというカウンターを入れたのもナイスでした。
 それぞれがトップ・レスラーである事を証明したからこそより難しくなった落とし所を
 他ならぬ壊し屋KENSOが提供したというミラクル。
 素晴らしいトリオ・マッチでした。
 好勝負に少し届かず。

最後は大会テーマ曲を合唱後、愛してまーすで締め。

総評
 プロレス最高というには、そう簡単に最高の物を見せられない状況がカードから、内容から伺われている。
 しかしながらチャリティー興行が満員御礼の売り上げで、
 その上で偶発的にしろ大会の中で
 それぞれの試合が流れを持ってバトン・タッチしていき
 メインの素晴らしい試合まで結びついたという結果に関しては最高である。
 (執筆日:9/9/11)
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@飯伏幸太、石森太ニ、BUSHI、大和ヒロシvs.タイガー・マスク、カズ・ハヤシ、近藤修司、リッキー・マルビン
A内藤哲也、真田聖也、征矢学vs.モハメド・ヨネ、谷口周平、高橋裕次郎
B後藤洋央紀、太陽ケアvs.真壁刀義、斉藤彰俊
Cプリンス・デヴィット、田口隆祐、鈴木鼓太郎、中嶋勝彦、KAIvs.平柳玄藩、KENTA、金丸義信、稔、金本浩二
D鈴木みのる、タイチ、青木篤志vs.獣神サンダー・ライガー、佐野巧真、船木誠勝
Eデストロイヤー杯バトル・ロイヤル(優勝:志賀賢太郎)
F曙、浜亮太、森嶋猛、吉江豊vs.永田裕志、天山広吉、西村修、井上渉
G佐々木健介、秋山準vs.高山善廣、大森隆男
H小橋建太、武藤敬司vs.矢野通、飯塚高史
I棚橋弘志、諏訪魔、潮崎豪vs.中邑真輔、杉浦貴、KENSO