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新日本プロレス:Ogawa vs. Hashimoto Seriesの分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@異種格闘技戦:橋本真也vs.小川直也(4/12/97)
 小川は非プロレス的な立ち回りを行なえているものの
 プロレス・デビュー戦なので馴れていないだけ。
 かといってサブミッションを決める動きは鋭くなく
 柔道家の技術をストレートに適用させることはできていません。
 橋本の蹴りに対する受身もまるでありません。
 橋本の蹴りがハードなのでリアルな痛みから所々でダメージ見せる程度のものです。
 一方の橋本はハードな蹴りだけで、異種格闘技戦の構築は見られず。
 何のストーリーもなく、最後に小川がSTOからスリーパーを決め
 デビュー選手がIWGP王者に勝利するという馬鹿げたフィニッシュ。
 悪い試合です。

AIWGP王座戦:橋本真也(ch)vs.小川直也(5/3/97)
 1ヶ月も経っていないので凡戦再びかと思いきや
 小川が接触してから技をかけるまでのやり取りの重要性を知り、
 尤もそれはスポーツの緊張感と通じるので、
 デビュー戦の段階で出来ていてもおかしくないのですが、
 それにより緊張感が生み出ているので
 異種格闘技戦として一定の成功を収めています。
 試合の雰囲気、小川の強ささえ出来れば橋本もやりようがある。
 緩急をつけた攻めで、反撃は普通の形を取らないリアリティーのあるもの。
 最後も本当にこの技で決めることになっていたのかと思うほどの強烈な蹴りでしたね。
 まあまあ良い試合。

B小川直也vs.橋本真也(1/4/99)
 橋本はコーナーに押し込んで膠着させるだけ。
 小川が橋本を余裕でいなし、
 転がすと頭部を踏み抜いてKOしました。
 レスラーがシュートに臨んで一方的に負けただけの内容。
 事前に通知されていたのか試合開始後シュートだと分かったのかは関係ありません。
 橋本がリアルな戦いにおいて攻め口を探らず
 何の解決にもなっていない、只終わりを少し終わらせるだけのファイトだったのが情けない。
 MMAだと楽勝の試合だったね、で忘れ去られる最底辺の試合の一つです。
 尤も小川が強さに裏打ちされた不遜な表情をしていて
 最高に憎たらしいのでこの抗争の起爆剤としての価値はある。
 まあ橋本が負けることによるイメージ・ダウンの方が大きい気がしますけれど。

CNWA王座戦:小川直也(ch)vs.橋本真也(10/11/99)
 小川は前回と同じく相手に遠慮することなく技術を見せ付けます。
 一方でスカッシュ・マッチにならないよう
 相手の反撃を許容し、引き出す攻防を取っている。
 強者としての存在感も益々強くなっているし、
 蹴りに対してのセルも素晴らしい。
 これを見たら小川をシューティング・プロレスの
 ニュー・ヒーローと見ざるをえないですよ。
 一方で橋本は小川のおかげで反撃を行なうことができ
 一定の盛り上がりを生んでいましたがとても評価できない。
 前回純粋な技術では絶対的な差があることが露呈したにも関わらず、
 コンディションは良くなく、プロレス・キャリア10年以上の差、
 その経験からのプロレスの見せ方によってその差を埋めようとする努力が見られません。
 気持ちが負けています。
 最後、試合を止める猪木のタイミングが相当に遅かったのは
 レスラーの価値に責任を持つプロデューサーとして問題ある行動ですが
 その間小川に只技をかけられるばかりで醜態を晒していた以上猪木を責める資格もないのです。
 とはいうものの新日の総合格闘技戦の中で一番面白かった。
 好勝負に少し届かず。

D橋本真也、飯塚高史vs.小川直也、村上一成(1/4/00)
 序盤から激しくヒート・アップしています。
 控えが様式無視に乱入して収拾つかない
 騒然とした雰囲気の中でシュート・スタイルの戦いを繰り広げました。
 こういう試合においては難しく考えず
 目の前の戦いに熱くなれば良いだけなので成功しています。
 平均的な良試合。
 
E(橋本は負けたら引退):橋本真也vs.小川直也(4/7/00)
 橋本が場外で異様に時間を取った後、花道からロープ越しに水面蹴り。
 グローブを外して見せ村上乱入となったり、花道DDTを決めたりしています。
 小川は前回の戦いにおいては能動的にシューティング・プロレスを作り上げていたのに
 プロレスの試合を積み重ねたせいなのか、
 基本的に受け手に回ってSTOオンリーで挽回するという単純なスタイルに劣化しています。
 このせいでリアルな技術を使ってもそれが試合の優位性にまで結びついておらず
 彼の最大の魅力を損ねる結果となっています。
 ということで試合は3,4戦目の橋本の絶対的に劣勢の状況から乖離した
 橋本が優位に立つ内容でプロレス的演出により盛り上げる形となっています。
 橋本に必要なプロレス的後押しを受けたものの
 逆に小川が劣化して前回の試合を越えれず。
 しかしまさかの橋本敗北という猪木vs.ホーガンばりの衝撃のエンディングが
 現実の厳しさ、独特の味わいを感じさせるドラマを生み出しています。
 まあまあ良い試合。
 
F三沢光晴、力皇猛vs.小川直也、村上一成(Zero-One 4/18/01)
 まずは相撲出身の力皇の圧力vs.村上の打撃で
 スタイル・クラッシュの試合だと周知します。
 その後三沢の焦らしから三沢vs.小川が実現。
 とはいっても相手の意図に簡単には準じないレスリングを軽くやっただけ。
 本当に触りだけの接触で控えの村上が乱入。
 タッグの権利はどこにいったのか
 そのまま三沢が村上にバック・ドロップ3連発決めてフィニッシュ。
 日本でしばしばある、カードを実現させただけで
 勝手に盛り上がってくれる試合の一つとはいえ
 最初の一歩踏み込んだだけで終わるとは思わなかった。
 とてもメインとは思えない。
 少し悪い試合。

 (執筆日:2/28/12)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@異種格闘技戦:橋本真也vs.小川直也(4/12/97)
AIWGP王座戦:橋本真也(ch)vs.小川直也(5/3/97)
B小川直也vs.橋本真也(1/4/99)
CNWA王座戦:小川直也(ch)vs.橋本真也(10/11/99)
D橋本真也、飯塚高史vs.小川直也、村上一成(1/4/00)
E(橋本は負けたら引退):橋本真也vs.小川直也(4/7/00)
F三沢光晴、力皇猛vs.小川直也、村上一成(Zero-One 4/18/01)