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SPW:Thornstowe vs. Luxary Seriesの分析


名勝負 SPW王座戦、7番勝負第7戦、60分ハードコア・アイアン・マン・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(3)vs.リック・ラグジュリー(3)(10/28/07)
好勝負 SPW王座戦、7番勝負第6戦、ケージ・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(3)vs.リック・ラグジュリー(2)(Episode 12 9/?/07)

@SPW王座戦、7番勝負第3戦、フォールズ・カウント・エニウェア:アダム・ソーンストー(ch)vs.リック・ラグジュリー(2)(Episode 1 ?/?/07)
 チョップで倒れた後の起き上がり。
 これを無駄なく素早く行うことで圧倒的スピード感を生み出しています。
 そこから場外に場所を移し乱戦。
 スポットを用意していたとはまったく感じさせない、
 その場のものをその場の思いつきで使っているように見える上に、
 その選択にまったく躊躇のない気持ちの良いカオスっぷりです。
 場外技、ステージ上技に飽き足らず場外でのジャーマンまで飛び出す過激さ。
 リングに戻ってもダブル・ストンプの利用とテンポの維持でそれまでと見劣りしない攻防を繰り広げました。
 好勝負に少し届かず。

ASPW王座戦、7番勝負第4戦、サブミッション・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(1)vs.リック・ラグジュリー(2)(Episode 7 ?/?/07)
 ラグジュリーはサブミッション・マッチに上手く適応。
 腰攻めは見せ方以上に実際に強烈に締め上げています。
 一方のソーンストーは打撃メインのスタイル故
 この試合形式のギミックを含有する幅が足りず、やや単調。
 試合内容としては普通のものでしたが、
 当たりが外れてソーンストーのバック・クラッカーが腰ではなく首裏にヒットしたのはえぐかったし、
 最後のボストン・クラブの極め方もリアルすぎて鮮烈なイメージは残している。
 平均的な良試合。

BSPW王座戦、7番勝負第5戦、テーブルズ・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(2)vs.リック・ラグジュリー(2)(Episode 8 ?/?/07)
 ラグジュリーの奇襲からスタート。
 荒々しく痛めつける無法者の戦いです。
 テーブルに叩き込んだら勝利というこの形式は
 最後を除いてテーブルに炸裂させない分ある種の不満が残り調整が難しいものですが、
 この2人の場合テーブルへのブレーン・バスターを防ぐことは
 反対側のコンクリートにブレーン・バスターで叩きつけることだったりするので問題ない。
 ちょっと理を抜け出ることもあるが
 見るものの想像の先をどんどん行くハード・ファイトは素晴らしかった。
 中々良い試合。

CSPW王座戦、7番勝負第6戦、ケージ・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(3)vs.リック・ラグジュリー(2)(Episode 12 9/?/07)
 顔を張り、マウントでパンチを叩き込みケージにぶつける。
 ナチュラルに遺恨を感じさせる良い関係。
 問題はいきなりケージ攻撃をして試合を維持できるのか。
 そんなことを考えているとラグジュリーが手錠でソーンストーをロープで繋ぎ脱出を狙う。
 それをソーンスターが防いだところから再び敵意で繋がる。
 SPWならでは、彼らならではの刺々しい攻めを見せてくれます。
 脱出に映るタイミングも良いし、それをロープ上からの技に絡めるのも良い。
 テンションを維持するには必要な場面で押し上げないといけませんからね。
 ソーンストーの空間の使い方、ケージのギミックの絡め方の
 バランス感覚は目を見張るものがありました。
 コーナー上に横渡しにしたラグジュリーにケージ上からのダブル・ストンプ、
 トップ・ロープに立った状態からのスラムとハイ・インパクトのスポットも当然ある。
 テンポにのって贅沢に試合を押し上げた後は失速する前に
 入場時に伏線を張った椅子という凶器にスイッチし流血効果も付与。
 駆け抜けすぎて勿体無い部分もあるが凄まじい一戦でした。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:12/1/12)

DSPW王座戦、7番勝負第7戦、60分ハードコア・アイアン・マン・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(3)vs.リック・ラグジュリー(3)(10/28/07)
 まったく見たた事のない団体のまったく見たことのない選手。
 しかし、まったく見たことのないような名勝負なのでありました。
 序盤のレスリング。
 しっかり形がついていて
 名のない団体の大半がそうであるようなリアリティーのなさはありません。
 腕に狙いをつけたリックは
 リスト・ロックから捻ってマットにたたきつけたり
 古式インディアン・デス・ロックを決めたりと
 ほお、と唸らされる攻めを見せます。
 良く研究していますね。
 一方ヒールのアダムはストンプ系が武器の選手。
 ストンピングの際は思いっきり上げてから振り下ろしており実に絵になります。
 画鋲付キックパッズを持ち出しリックを追い込みます。
 ここで15分経過。

 リックが反撃を開始しビッグ・ブーツ連打で流れを作ります。
 威力は十分で説得力ありますね。
 トペにいくもアダムが椅子で打ち落とします。
 ぐったりとロープに引っかかったところで
 先ほどのキックバッズで蹴り連打。
 良く考えられたスポットです。
 その後ハードコアな場外乱戦。
 ラダーも飛び出しました。
 凶器攻撃に引けを取らないフェイス・ウォッシュなどの
 ハード・ヒッティング技も豊富です。
 まったく疲れを感じさせないアドレナリン前回の潰しあいは
 リックのゴミ箱によるヴァン・ダミネーターで1本目の幕を閉じます。
 ここで16分。

 リックは理屈どおり連取を狙いにいき、
 アダムは1本取られたKO寸前の状態から
 何故2本目を取られないか理屈のある凌ぎ方を見せる。
 そして通常形式と同じ要領で反撃の流れを生み出します。
 戦場は(言い忘れていましたが会場は体育館です)ステージに移り、
 ステージ前のテーブルを巡る攻防に。
 ここでも簡単に決めず、ぎりぎりの防ぎあいをした後、
 入場セットの上からのダイビング・ダブル・ストンプという
 予想を超える方法でテーブル葬してきます。
 これを決めたアダムがリックをリングに戻してフロッグ・スプラッシュ。
 25分経過時に1-1に追いつきます。

 その後は有刺鉄線ボードを取り出してくるわ、
 椅子を頭に引っ掛けてドロップ・トー・ホールドを決めるわ、
 鉢を被せてダイビング・ダブル・ドロップで割るわ、と
 デス・マッチ同然の更に過酷な削りあい。
 その結果、アダムが連取し2-1とします。
 この時点でまだ35分。
 本当に試合が続行できるのかと心配になってきます。
 ここで試合中止にして現時点での本数からアダム勝利としても
 誰も文句を言わなかったでしょう。
 しかしリックは頭部にテーピングを巻いて再び試合に赴く。
 ここまで過激なことをやればリアルもリング上の仮想もズレなんてありません。
 過激なスポットに喘ぎ、苦しみ、
 それでも精神力で返していく。
 ぼろぼろになり休む必要がある時には休み、
 それでも動かなければいけないと動く。
 ハードコアな乱戦が続きます。
 場外にテーブルを設置し、横にラダーを立てます。
 ラダーを上りテーブル葬かって。
 いやいや、そんな生易しいものではなく、
 ラダー上からバスケのゴールに移り、
 そこからダイビング・エルボー・ドロップでテーブル葬。
 息も絶え絶えにリングに移り、50分経過時に2-2の同点となります。

 最後の10分は乱戦もできない状態で
 (リアルとしてもリングの戦いとしてもです)、
 膝を突いての殴り合いやスリーパーで落としにかかる。
 スリーパーで駄目なら画鋲をばら撒いて画鋲へのクラブ・ストンプ。
 これでも終わらず最後は体に鞭打って必殺技を狙いに行く。
 ここまでハードコアの髄を尽くして、
 最後はリックが必殺技の体勢に入ったところを潰してのカウント3。

 実に素晴らしい心意気です。
 Holy Shit!と叫ぶことも忘れる過激さと
 真摯なプロレスへの思いが同居したとんでもない試合です。
 デス・マッチの狂いとも一線を画していて
 DVD製作もまだされていないような小さく、
 そして割に合わないペイしかもらえらない団体で
 何故ここまでの試合が生まれるのか。
 理解不能の凄さです。
 ぎりぎり名勝負。
 この試合はYoutubeでフルで見られますよ。
 まだ再生回数が20回程の掘り出し物。
 (執筆日:4/25/12)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@SPW王座戦、7番勝負第3戦、フォールズ・カウント・エニウェア:アダム・ソーンストー(ch)(1)vs.リック・ラグジュリー(2)(Episode 1 ?/?/07)
ASPW王座戦、7番勝負第4戦、サブミッション・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(2)vs.リック・ラグジュリー(2)(Episode 7 ?/?/07)
BSPW王座戦、7番勝負第5戦、テーブルズ・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(3)vs.リック・ラグジュリー(2)(Episode 8 ?/?/07)
CSPW王座戦、7番勝負第6戦、ケージ・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(3)vs.リック・ラグジュリー(3)(Episode 12 9/?/07)
DSPW王座戦、7番勝負第7戦、60分ハードコア・アイアン・マン・マッチ:アダム・ソーンストー(ch)(4)vs.リック・ラグジュリー(3)(10/28/07)