コラム:日本三大チョップ試合
@小橋建太vs.佐々木健介(Noah 7/18/05)
(時々映像にブロックが入ります)
小橋が佐々木の 不器用さを肯、と迎え入れ
四天王プロレスにより真っ向からぶつかりました。
そのハードさはこの際言及しません。
何しろ、この試合の肝は中盤に設置された
187発ものチョップの打ち合いにありますからね。
肯定しようが否定しようが
圧倒的なエネルギーでその迫ってくるシーンは
サムシングに満ち溢れ年間最高試合(最もクオリティの高い試合ではない)を取ったのも納得です。
ぎりぎり名勝負。
AST-K王座戦:火野裕士(ch)vs.滝澤大志(K-Dojo 12/25/10)
(カットあり)
それぞれチョップを意識していることを伝えつつチョップを打ちます。
相当なハード・ヒッティングですね。
観客席の中に入ってのチョップもまったく威力を弱めないので
只の観客への媚売りではなく盛り上がっています。
チョップだけなのに色々変化をつけてしっかり進行させていますね。
火野のチョップに比べて滝澤のチョップは劣ります。
それ故中盤になっても滝澤がチョップに拘って良いのか
同じ立場と考えていることに違和感を覚えますが、
それは特殊な意地の張り合いの中で勘違い男になったと見るのが正しいのでしょう。
場外や観客席を使って構築性を補って
引き続きチョップだけで戦っていく。
だれかけた所をカットによって誤魔化したかもしれませんが
少なくとも映像だけで判断すればまったく時間の無駄はなかった。
20分超えてもボディ・スラム1発しか出ていなかった特殊な試合。
スーパープレックスやクローズラインで心理面を表現しましたが、
それ以外は最後の最後までチョップ一筋。
チョップで力尽きるところまでいける説得感に欠けることは何一つなかった。
ある意味健介vs.小橋に匹敵するチョップ・マッチです。
文句なしに好勝負。
B潮崎豪vs.佐々木健介(Noah 7/24/10)
ロックアップの静から動への変換としてショルダー・タックルを使い、
それとはまったく独立した位置づけにチョップ合戦を見据えている。
各動きの性質を見極め、その組み合わせを考え抜きましたね。
最初をチョップではなくヘッド・バッドで打ち合いをしているのもにくい。
まずは潮崎が脚狙いを入れて主導権を掴みます。
打撃の打ち合いと一方的な攻めのバランスは若干改善の余地がありますね。
しかし健介vs.小橋との比較が試合前からあるなかで
チョップの扱いは本当に繊細な感覚の下使われています。
チョップではないという選択肢含めて
チョップというものがここまで考え抜かれたこともないでしょう。
またその鋭い感覚はチョップに留まらず、
健介のラリアットの位置づけも的確で良いですね。
健介が潮崎を場外で投げ、エプロンに上がってきた所でラリアット。
厳しい攻めで追い込んでいきます。
表情含めたトータルでの態度の表現としてみるとまだまだですが
そういうできない部分も含めて健介らしさでもあるし
ここは特に大きな問題でもない。
チョップを一つ後ろに下げることで特別にして、
その特別なものを乗り越えることで他を特別にしている。
同時に他ならぬチョップでその上にいっている。
チョップ単独の使い方ではなく
チョップ合戦の使い方に関して唯一疑問はある。
必殺技を返されるところまで来て
ようやくのチョップ合戦解禁でしたからね。
過激技も目立つNoahにおいては
チョップが必殺技を超える位置づけという所に違和感がありました。
しかしここまでチョップを哲学した試合を差し置いて
チョップ合戦で終える権利・価値を持った試合など存在しない。
文句なしに名勝負。
(執筆日:2/16/13)